第40回 タイよもやま話

第40回 タイよもやま話

シンガポール、マレーシアの話に続いて今回はタイよもやま話をお送り致します。

当時、タイ・バンコクには電子部品組立ての協力工場があり、シンガポールから2週間に1~2日は作業指導や品質確認の為に訪れていました。

ある時、新機種の展開時に日本から作業指導者が来る事になり、シンガポールからは私の他にシンガポールエンジニア2名でタイ入り。

ここから多言語による悲惨な伝言ゲームが始まるのです。

 

① 日本から来たエンジニアの日本語を⇒ 

(新機種の内容を私も理解していない状態での通訳。不正確極まりないのです。)

 

② 早坂の“あやふやな英語”でシンガポールエンジニアに通訳 ⇒ 

(私はあやふや英語で常時話をしているので、彼らは私の英語を理解してくれる。)

 

③ シンガポールエンジニアは“シングリッシュ”でタイエンジニアに通訳。

(シングリッシュに負けるとも劣らない独特のタイングリッシュ“で理解。どちらも癖の有る方言英語は致し方無い) 

 

④ タイエンジニアがタイ語で作業リーダーに通訳 ⇒ 

(もうここから先はチンプンカンプン)

 

⑤ 作業リーダーが出稼ぎラオス作業者にラオス語で通訳 ⇒

まるで連合国軍の様な6つの言葉での伝言ゲームになります。

内容が理解出来ない日本語➡あやふや英語➡Singlish➡Tainglish➡タイ語➡ラオス語

 

ここまで来ると、一生懸命にあやふや英語で10分間説明しても、最後のラオス作業者へは数秒での説明へと大減衰しまうのです。  

(教育レベルやバックボーンの違いもあり伝わるはずもありません。)

 

【やってみせ。言って聞かせてさせてみて。褒めてやらねば人は動かじ】です。

この頃から力を入れた作業指導の方法は、

① ビデオ作業標準書作成に力を入れ、画像で見せる方法を導入。

② そして現地で、日本人作業指導者が実際の作業実演で教える。

③ それぞれの作業者に実際に作業してもらい、上手く行けば褒めちぎる。

何度も何度も正しい作業が出来るまで、“やんだぐなる”くらい繰り返し指導する。

時間はかかるがこの方法がゴールへの近道なのである。

上述の【言って聞かせて】は伝言ゲームのせいで殆ど役に立ちませんでしたよ。五十六さん。

 

昼食は工場労働者と同じメニュー。

会社には社員食堂が完備されており、昼食はフリーで食べ放題なのです。

とは言うものの、メインは工場労働者向けメニューばかり。

食材も味も見た目も、それはそれは、【お母さん!先立つ不孝をお許し下さい】って言うレベル。

サラダは埃っぽい味のする見たことの無いまるで野草。ご飯はパサパサのタイ米にチャチャっと汁をかけ、魚は骨だらけで身の無い、やたら口のデカイ魚、肉は何の肉かは正体不明。

※ワニやミズオオトカゲなども食材として出るから楽しい。(?)

プラカップに入った飲み物の表面には怪しげな油の被膜が、、、、、、、、、、、。 

慣れるまではそりゃぁもう痩せる想いの毎日でした。(とは言え、なぜか太って帰国するのが常)

(ローカルの出店で食べるのを想像しては間違いです。 皆さんにはお勧め出来ません。)

 

工場のオーナーは新興財閥のご子息。

彼の家は仙台市体育館より大きそうな豪華絢爛な大邸宅。 なんとその一角にタイ警察のNo2が間借りしており警備は厳重。 ハンパ無い大金持ち。 (数年後、厚生大臣に出世)

ある日、シンガポールへ帰る日の会議が肉薄し、飛行機の時間が刻々と迫って来ても、オーナーは、友達が送ってくれるので心配ないと悠長に構え会議は続行。

その後 友達が来たので終了しようとなり、そこに迎えに来た友達の車と言うのは、ナ・ナ・ナント!! パトカー1台に白バイ2台。

空港までは、普通1時間チョイかかる道のりが20分弱で到着。 まさにVIP待遇。

後にも先にもパトカーに乗ったのは生まれて初めてなので興奮冷め止まぬ経験でした。  

 

これからは家内に内緒の話なのですが、

当時 金価格は1200~1300円/g。 出張手当を節約し、小遣いを貯めヤーさん風のチェーンネックレスを購入。それがナ・ナ・ナント!! 今の金相場では約8000円/gだそうな。  

当時、投資センスが無かったので致し方無いのですが、借金してでも1㎏位買っておくべきだったと後悔することしきりの今日この頃です。

シメシメ、ネックレス売れば、チョットした小遣いになるのよねー (小市民の小さな幸せ!!)

 

次回はハルピンよもやま話をお送りします。