第35回 有給休暇って買取出来るの?
みかんには みかんの味があり りんごには りんごの美しさがある
しあわせは いつもじぶんのこころが きめる 『相田みつを』
健康な事、仕事がある事、家族が元気な事、好きなスポーツや趣味を楽しめる事、
あ~ぁ!! 私って本当に幸せ者なのですね。
第35回 有給休暇は買い取る事が出来るの?
技能実習生が実習期間を満了し帰国する際に多くの企業様から余っている有給休暇は買い取って良いのかどうかの相談を受ける機会があります。
【まずは結論から:】
有給休暇買取は原則違法です。但し、一部認可されるケースがあります。
◎認可されるケース: 有給休暇買取が可能な具体例
基本的には、従業員から正当な理由で申請があった場合にのみ買取が可能です。
理由としては、有効期限内や退職前にすべての日数を消化しきれなかった、といったことがあり得ます。
企業側は買い取らないという選択をして従業員からの申請を拒否しても問題ありません。
とはいえ、前述のように特に退職時に未消化の日数が大量にある場合は、従業員と協議して「付与する」「買い取る」のいずれかの対応を取った方がトラブルを防げます。なお、企業側から買取を要求することは違法ですが、法定有給休暇を越えた日数の対応について就業規則などで明記している場合は、例外として買い取ることができます。
企業側から未消化の有給休暇の買取を要求することは違法のため、日頃から従業員が有給休暇を取得しやすい環境づくりをしましょう。
とはいえ、従業員都合で大量の未消化分がある場合など、例外もあります。この機会に、退職時に残っている日数の対応や買取価格について、就業規則を見直してみることをおすすめします。
1:「休日」と「休暇」の違い
労働者と企業が労働契約を結ぶ際には、あらかじめ労働日と休日を定めておく必要があります。
労働日とは働く義務がある日のことで、休日は働く義務がない日のことです。
休日と似た言葉に「休暇」があります。どちらも労働者が仕事を休めるのですが、その意味が違います。
休暇とは労働日に働くことを免除することです。休暇には法律で定めがある法定休暇と会社が独自に定めた法定外休暇(慶弔休暇など)があります。
2:年次有給休暇とは?
年次有給休暇は労働基準法(以下「労基法」という)で定められた休暇で、「年次」とある通り1年ごとに毎年一定の日数が与えられる休暇です。世間一般的には「有休」「有給」「年休」と表記されます(ここでは「有休」と表記)。
また、有休は「有給休暇」であることから休暇を取得した日や時間分の賃金が支払われ、計算方法は各企業で決められています。(就業規則に明記が必要)。
2-1 有休を取得できる条件
有休は企業に雇用されている労働者のうち、以下の条件にあてはまる場合に取得できます。
(1)勤務開始日から6ヶ月間継続勤務していること
(2)全労働日の8割以上出勤していること
ただし、労働者が労働災害や産前・産後休業、育児休業、介護休業をしている期間は出勤したものとみなして出勤率を計算し、会社都合の休業期間(一時帰休など)は、原則として全労働日から除外しなければなりません。
上記(1)(2)の条件を満たしていれば、正社員はもとよりパート、アルバイト社員でも有休を取得できます。正社員には有休を付与してもパート、アルバイト社員には有休を付与していない企業が多く存在するし、有休が取得可能だとは知らないパート、アルバイト社員も多いのが現状です。
もし有休付与対象のパート、アルバイト社員が有休を申請した場合に拒否すると法律違反になりますのでご注意下さい。
2-2 有休の付与日数
有休の付与日数は、労働者の勤続年数ごとに労基法で決まっています。
※厚生労働省:年次有給休暇
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf
この有休付与日数は最低基準なので、企業が基準以下の付与日数を定めたとしても無効となり、上記の付与日数により運用されます。また、企業の裁量でこの基準以上の有休付与日数を定めることは問題ありませんが、就業規則等への明記が必要となります。