第24回 外国人の退職勧奨
七転八倒 つまづいたり ころんだりするほうが 自然なんだな 人間だもの。
『相田みつを』
失敗を恐れて何もしない事が大きな誤りです。失敗は成功の基と考え何事にも積極的にチャレンジしたいものですね。
前々回、技能実習生の解雇。前回は特定技能の解雇。について紹介しました。
技能実習や特定技能の外国人労働者は基本的に解雇が出来ないとお考え下さい。
今回は技能実習、特定技能以外の外国人労働者への退職勧奨の紹介です。
【外国人の退職勧奨】
外国人を退職させるには
日本の労働法では、従業員を退職させることは必ずしも容易ではありません。会社側によって雇用契約を解約する解雇を行うには、厳しい要件を満たし、かつ、適正な手続に従って行う必要があります。
このため、会社側が従業員を退職させたいと考えた場合、まずは退職勧奨を行うことが一般的です。こちらは一方的な解約を告知するのではなく、従業員に対して自己の意思で会社を辞めるように勧めることを言います。
退職勧奨であれば、解雇のような要件や手続は不用となりますが、あまりにも執拗なものなどは違法となる場合がありますので注意は必要です。
解雇の場合も退職勧奨の場合も、外国人従業員に対しては、十分に理解を求めるなど、日本人従業員以上に慎重に手続を進めることが望ましいと言えます。
また、就労系の在留資格で滞在する外国人従業員の場合、退職をすると、新たな勤務先を見つけなければ在留資格を取り消される場合がありますので、会社側としてはそのことも念頭に置いておくことが望まれます。
外国人、日本人関わらず、退職勧奨トラブルは、退職勧奨が退職を強要するものになってしまっていることが原因で起こります。
退職勧奨は、あくまで従業員の自由な意思で退職を認めるものでなければなりません。多くのケースでは、退職金を上乗せして支払う、有給を追加で付与するといった条件を提示し、落ち着いて話すことで、大きなトラブルに発展しないことがほとんどです。
しかし、対応を誤った場合、違法な退職勧奨として、損害賠償請求をされたり、仮に従業員が退職したとしても強迫による取消しや錯誤無効を主張される可能性があります。
退職勧奨とは?
退職勧奨とは、会社が従業員を自発的に退職することを促すことです。
退職勧奨と解雇との違い
解雇は、従業員の意思にかかわらず、会社が従業員に、一方的に労働契約の終了を求めるものです。
退職勧奨は、会社が従業員に対して自ら退職することを促すことをいいます。退職するかは従業員が決めることができます。
退職勧奨が違法となる場合、従業員の自由意思を侵害するような手段あるいは態様で行われた場合です。
よく問題となるのは、「退職しなければ〇〇部に異動させる」などと不利益を示すケース、短い期間に何回も退職を勧めたり、1回の面談が何時間にもわたるケース、面談時に大人数で辞めさせたい従業員を取り囲んで説得するケースなどです。
退職勧奨時に気をつけること
①話す内容
・従業員を侮辱するような発言、名誉を傷つける発言をしない。
・「退職しなければ、異動させる、給料を下げる、仕事を与えない、コピーの仕事だけにする…」など仕事を継続した場合の不利益を言わない。
②話し方、方法
・大声、怒鳴り声をあげない。
・大人数で従業員を囲まない。
・従業員が退職を拒否しているのに、執拗に説得しない。
・1回の面談で何時間も話さない。
・相手の日本語力に応じて通訳を入れる。
退職勧奨に応じない場合には、解雇できるか否かを検討しましょう。
解雇には厳しい制約がありますので簡単ではありませんが、従業員に問題がある場合は、将来の解雇に備えて、解雇が認められるように手順を踏む必要があります。