第23回 特定技能解雇について

第23回 特定技能解雇について

おかげさん。 『相田みつを』

我が家には“おかげさん”と書かれた相田みつをの色紙が飾ってあります。

たった5文字だけの言葉ですが、その中には、〈おかげさん〉でないものは、この世にひとつもありません。みんな〈おかげさん〉で成り立っているんです」。との意味が込められているそうです。

 

特定技能と解雇

特定技能で外国人を受け入れる場合も、各種法令が適用となるため、解雇については①客観的に合理的な理由と②社会通念上相当であることが必要になります。また、有期労働契約を締結している場合は、技能実習同様、その雇用期間中は、やむを得ない事由がある場合でなければ解雇できません。

                  

特定技能の解雇について、特に注意が必要なのは以下の2点です

①解雇前後の届出

解雇する前に,出入国在留管理庁に受入れ困難となったことの届出をすること、

解雇した後は,出入国在留管理庁に特定技能雇用契約の終了に関する届出をすること

が義務づけられているため、各届出を忘れないようにすることです。

②自発的ではない離職者を出さない

特定技能で外国人を受け入れる要件に、特定技能での雇用契約をする日の1年以内またはその締結以降に、同種の業務に従事していた従業員(日本人を含む)を定年や懲戒解雇、自主退職以外の理由で離職させていないことがあります。つまり、自発的でない離職者がいる場合、特定技能での新たな外国人の受け入れが難しくなり、採用計画に狂いが生じます。

したがって、特定技能で外国人を受け入れたい企業様で、解雇を考えている従業員がいる場合は、懲戒解雇事由がなければ、自主退職を促すなどし、普通解雇は避けなければなりません。

 

在留期間の更新と解雇との関係

外国人従業員が在留期間を更新できなかった場合、そのまま就労させると不法就労になります。

いくら解雇が認められる要件が厳しいとはいえ、不法就労させると、不法就労助長罪に問われて大変なリスクとなります。

基本的には、ただちに解雇したとしても、雇用の経緯や経営者の方の外国人従業員の在留資格や在留期間の認識に正当性があれば、解雇は有効となると考えられます。

 

こんな解雇はダメ。法律で禁止されている解雇理由

法律で明示的に禁止されている解雇理由をご紹介します。

・国籍、信条又は社会的身分を理由とする解雇⇒外国人従業員の場合特に注意が必要です。

・業務上災害のため療養中の期間とその後の30日間の解雇

・産前産後の休業期間とその後の30日間の解雇

・労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇

<労働基準法>

・労働組合の組合員であることなどを理由とする解雇

<労働組合法>

・労働者の性別を理由とする解雇

・女性労働者が結婚・妊娠・出産・産前産後の休業をしたことなどを理由とする解雇

<男女雇用機会均等法>

・労働者が育児・介護休業などを申し出たこと、又は育児・介護休業などをしたことを理由とする解雇

<育児・介護休業法>

 

[参考]

労働契約法

(解雇)

第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

(契約期間中の解雇等)

第17条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

 使用者は、有期労働契約について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。

 

外国人のみならず解雇する場合には、専門家に十分に相談しながら進める必要があります。