第199回 軽薄短小の強み 〜小さな国と軽自動車の共通点〜

第199回 軽薄短小の強み 〜小さな国と軽自動車の共通点〜

コロナの炎が乾燥した山々に燃え広がるように、日本各地に飛び火して鎮火の気配の見通しが全く見えていません。

そういう日本とは異次元の対策をして、コロナ禍を克服しつつある対照的な二つの小さな国があります。

 

台湾は人口が2360万人で九州ほどの大きさ、コロナウィルスの感染者は4月半ばで千人ほどしかおらず、その死者は11人と驚異的に抑えています。 

その対策は当初から科学的にPDCAを回し、若い責任者がなるほどと思う施策を実行し人口密度の高い国を守っています。

ワクチンについては世界ワースト日本の100人当たりの接種回数が1.5回に比べても、台湾は0.5回とワクチンに頼らず自国民を完ぺきに感染から抑えており、鉄壁の防御態勢をとっているのです。

 

もう1つの国イスラエルの国土は台湾の3分の2、人口は880万人と人口密度はそれほどではないのですが、感染者数は84万人位と人口の10%で死者も6,300人に及んでいます。

しかし、現在ワクチンの100人当たりの接種回数は114回と世界でもトップクラスで、現在では「普通の生活」に戻りつつあり、小国であってもその抜きんでたワクチン交渉力が世界を唸らせているようです。

 

その両国に共通するのは、国土の小ささの他に地政学的に厳しい国のために、国内外の政策が将棋の名人のように50手も100手も先を読んで実行しているからなのではないでしょうか。

さらに両国ともデジタル先進国でもあり、厳しい環境の地にしっかりした根を張る植物のように、重厚長大にも負けないスーパー軽薄短小国を築き上げたのではないでしょうか。

 

その2国に比べるとまるでスローモーションの画像を見ているような遅いスピードの施策しかしていないのでは?と思ってしまうのが日本のコロナ対策です。

 

コロナ禍が始まって当初からの対策が後手後手と場当たり的で、初心者同士の将棋のように「マッタ!は許してもらえないのに・・」、「技術先進国と思っていた日本なのに・・」となんとも残念な思いです。

 

話題は変わり少しこじつけになりますが、それでも、日本には世界に誇る軽薄短小の素晴らしい技術で作られたものがあります。

それはガラパゴス日本国の売れ筋筆頭である軽自動車なのです。

 

昨年コロナ禍が少し下火になった頃、GO TOトラベルが始まる前の夏に四国に行き、レンタカーを借りドライブをしながらぐるりと一周してきました。

運転しながら気づいたのはこの地では、やたらと軽自動車が多いということで、それも町を離れると軽トラが圧倒的に多く、ひょっとするとこの辺は軽トラの巣なのではないかと思ったほどでした。

調べてみると軽自動車の保有率が一番高いのは高知県の55.2%、次に長崎県が55%そして3位が沖縄の54.5%とほぼ横一直線ですが、共通するのは道路が狭い、離島が多いということです。

ちなみに、ベスト15位までは四国と九州で福岡を除いた11県が含まれており、ガラパゴス島で発達した希少動物たちと同じ軽自動車は日本特有な特異車なのだと改めて確信したのです。

 

私が人生最初に乗った車は、20歳の時に5万円で買った中古の軽自動車、年季の入った黄色の塗装がまだらのホンダN360、俗にNコロと言われていた車でした。

学生時代にその車を運転し蔵王連峰の近くの大学の研修寮に仲間3人と向かう途中、坂の登りの急カーブを曲がっていたら4人とも遠心力で右の方に傾いたと思ったら、スローモーションのようにゆっくりと横転してしまいました。

運転席が下になり助手席の友人がボーっとして固まっていたので、先にドアを開けて出てもらうことを促し4人で外に出てから、「ヨッコラショッ!」と車を元に戻し、何事もなかったように皆で再び乗り込み出発しました。

外観はもともとボコボコだったので、多少車体が傷んでも全く気になりませんでした。

 

その車は卒業と同時に友人に譲りましたが、昨年に50年ぶりで自分の車として軽自動車を購入し、半年ほど乗ってみて改めてその良さを認識しました。

思ったよりも広い社内、ターボやパワー機能や四輪駆動そしてハイブリッドも装着されており、なんとナビディスプレイは9インチもあり各種の安全機構も充実していました。

 

更に、高速道路料金が割安、車両価格、税金車検保険費用、高燃費など経済的でもあり、小回りが利くので機動性が良くおまけに駐車場も止める場所が多く重宝しています。

 

ただ軽自動車はタイヤが小さいので道路の凹凸に弱く、ちょっとした段差にもガクンとなりそれが気になりますが、日本は道路事情が良くなったせいもあり販売台数が増えたのだと思いました。

 

良い意味での軽薄短小で小回りきく国、そして売れに売れている日本の軽自動車、その共通する強みを日本でも見ならって欲しいと思うのは、私だけではないと思っているこの頃なのです。