第3回 技術・人文知識・国際業務ビザを取得するための条件
【実るほど頭を垂れる稲穂かな。】 実るほど胸を張るお方が多いのが残念です。
宮城県各地から新米のニュースが多く報道されています。
今年も美味しいお米を頂けるのを楽しみですね。《天高く馬肥ゆる秋》では無いですが、私もだいぶ前から丸ぁるくなってしまっておりますが、皆様も過食には十分ご留意下さい。
さて今週は多くの外国人が取得している在留資格(就労ビザ)を紹介致します。
「在留資格:技術・人文知識・国際業務」について
※一般的に「技人国(ぎじんこく)」と呼ばれる在留資格で、外国から直接雇用する場合や日本の留学生の90%以上はこの技人国の在留資格を取得して働いています。
① システムエンジニア(SE)、機械開発設計技師、その他の「技術」。
② 翻訳者・通訳者・外国語教師などが含まれる「人文知識・国際業務」。
この在留資格は、専門知識を活かしたホワイトカラーを雇用する為のビザです。
オフィスワークの業務は「技術・人文知識・国際業務」に当てはまり、肉体労働や単純作業の仕事に従事する場合はこの在留資格を得ることは出来ません。
以下に「技人国」のビザについて説明します。
1.技術・人文知識・国際業務ビザ取得の6つのポイント
(1)仕事内容と大学での専攻との関連性があること。
(2)本人の学歴と職歴。
(3)会社と外国人の間で雇用契約が結ばれていること。(派遣契約・請負契約でも取得可)
(4)会社の経営状態。
(5)日本人と同等の給与水準であること。
(6)外国人本人に前科がないこと。
等々があり、これらを証明する書類の提出が必要となります。
2. 技術・人文知識・国際業務ビザを取得するための2つの条件
(1) 外国人が卒業した大学や専門学校での専攻内容に関連した職種での採用であること。
日本では、専門性のない単純労働の外国人の就労は認められていないため、技術・人文知識・国際業務ビザでは、大学や専門学校で専攻した専門知識を生かして日本で働く場合にのみ、就労が認められるのです。
例えば、「総務」として働くのであれば、文系の専攻内容を大学で専攻していたことが必要ですし、「エンジニア」としては働くのであれば、理系の専攻内容を専攻していたことが必要です。
この条件を満たしているかどうかが以下の書類により入国管理局で審査されます。
※ 外国人の学歴についての書類: 卒業証明書や成績証明書
※ 採用職種についての書類: 雇用契約書や採用理由書
(2) 採用職種について10年以上の実務経験があること
専攻内容に関連しない職種での採用の場合や、外国人が高卒の場合には、《条件1》は満たしません。
その場合でも、採用しようとする職種で「10年以上」の実務経験があれば、技術・人文知識・国際業務ビザの取得の条件をクリアできます。
さらに、高卒で通訳、翻訳、語学講師としての採用の場合は、年数が緩和されており、「3年以上」の実務経験があれば条件をクリアできます。
一方、大学卒業者が通訳、翻訳、語学講師としての採用の場合は、専門性の一致は不要とされています。
これらの条件については以下の書類により入国管理局で審査されます。
・外国人の職歴についての書類:過去の勤務先の在職証明書、その他職歴がわかる資料
・採用職種についての書類 :雇用契約書や採用理由書
採用職種に関連する学歴または実務経験が必須条件になります。
しかしながら、過去に勤務した企業から実務経験の情報を得るのは容易ではありません。職歴の証明が出来ない場合は、ビザ取得は出来ないとされておりますので、言うは易し、行うは難しである事は否めません。
3. 術・人文知識・国際業務ビザが不要になる3つのケース
前述のとおり、オフィスワーカーとしての雇用の際は、技術・人文知識・国際業務ビザが必要になることが原則ですが、例外的に、技術・人文知識・国際業務ビザを取得する必要がない場合があります。 それは、以下の3つのケースです。
(1) 「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人を採用する場合。
日本人と結婚している外国人を採用するケースです。
(2) 「永住者」や「永住者の配偶者等」の在留資格を持つ外国人を採用する場合。 日本の永住権を取得している外国人やその配偶者を採用するケースです。
(3) 「定住者」の在留資格を持つ外国人を採用する場合。
日系フィリピン人や日系ペルー人など、日本に住む日系人などを採用するケースです。
「日系人」とは、昔に移民として海外にわたった日本人の子孫を言います。
これらの在留資格を持つ外国人については、日本人と同じように働くことができ、職種の制限がありません。
単純労働に従事することも可能ですし、技術・人文知識・国際業務ビザを取得する必要もありません。 (原則:一人ひとつの在留資格しか持てません。)
最終的な判断は入管に委ねられますので、遠慮なく入管への相談も行いながら、確実に在留資格を確保する努力が必要です。
次回は技術・人文知識・国際業務について個別と共に、それらのビザで具体的にどの様な仕事に就けるのかを紹介します。
【参考資料】
留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00091.html
別紙1 事例も参考に 不許可の事例も記載されています。