第166回 コロナ・ラプソディー

第166回 コロナ・ラプソディー

 「コロナ」の影響が中国どころか日本をそして世界を揺るがすような憂慮すべき事態になるとは、習近平も安倍晋三もドナルド・トランプも神さまも仏さまも想像だにしなかったのに違いないと思います。

 

 太陽の表面から発せられるというコロナは、100万度以上の温度がありすべてを焼きつくすほどの高温です。このまま新型コロナウィルス(以下コロナ)が流行してしまうと、このコロナのフレアが地球に到達し世界の終わりになるのではと思えるくらいの騒ぎになっています。

 

 渦中のダイヤモンドプリンセス号、実は私は今年の6月のツアーに申し込んでいたのです。それは金環日食を海上で観測するというツアーですが、昨年12月に別の予定が入りキャンセルし、その後にコロナ肺炎の発生で大騒ぎになり驚いてしまいました。もしも、その時期にその発祥がずれていたらと思うと、他人事ではないよう気がしてしまいました。

 

 つい先日に来仙したフィリピン人の方と話をする機会があり、彼の国でもコロナの影響はだいぶ出てきており話題のひとつにもなりました。

 

 フィリピンのドテルテ大統領はこのコロナが中国で発生したとの報を聞くや否や、急遽中国武官からのチャーター機を追い返し、矢継ぎ早に中国、香港、マカオ、シンガポールからの入国を禁止する処置を打ち出しました。その対策のおかげなのか、現在も感染者が大変に少ないという結果に表れているのかもしれません。

 

 ダイヤモンドプリンセス号には538人のフィリピン人が乗船していて、ほとんどが乗務員ということです。このうち59人に感染が確認され日本の病院に移送、そして25日にはチャーター機で母国へ445人が帰って行きました。

 

 この「事件」の影響でドテルテ大統領は、世界中のクルーズ船で働いているフィリピン人を自国に戻すことも検討中ということで、もしそうなったら地球上からクルーズ船が激変し、現在のように運航することは難しくなることは確実であります。

 

 麻薬撲滅のために2万人から3万人を死亡させたという即断即決の大統領であれば、躊躇なくやるかもしれないと思ってしまうのは私だけではないはずでしょう。

 

 世界中で1千万人働いているフィリピン人は、船舶の労働者以外に建築関係、看護師、介護士、メイドなどの職に就いているので、同じような施策をされたらかなりのダメージを受けてしまいます。

 

 アメリカのテキサスに住んでいる私の姉の娘である姪からの情報です。姉はマスクが全く手に入らなくなったので、娘に「アメリカはまだコロナの影響がほとんどないので、マスクがあるだろうから送ってほしい」とスカイプで話したそうです。

 それを聞いた姪はドラッグストアを何軒も廻りましたが、どこも品切れで買うことができませんでした。それは在米の中国人が大量に買い占めてしまい、それを中国に送っているのだという理由でした。

 

 関東地方に住んでいる息子からラインで連絡があり、それはトイレットペーパーやティッシュが急に無くなり、スーパーやコンビニの棚からそれらが消えたので送ってほしいとの内容でした。

 私は内心は「トイレは用足しの後ドライヤーで乾燥させ、鼻をかむときは外国の映画のようにハンカチを使いそれを洗えばティッシュも不要なのだ」と思ったのですが、妻には「家に在庫があったら送ったら・・」などと甘言のアドバイスをしてしまいました。その2週間前にマスクのSOSが入り、息子に5ダースばかり送ってはいたのですが・・・

 

 昔はマスクといえばガーゼの素地が当たり前で、顔に付ける時には別のガーゼを四角く畳み、そのマスクと顔の間に挟んで使いました。もちろん今と違って使い捨てではなく何度も洗って使用しましたが、繰り返し洗うとマスクが縮んでしまい顔の面積の割には小さすぎるのが難点ではありました。

 蛇足として真偽は定かではありませんが、髭を生やしていると隙間が空いてマスクの効果が少なくなるという識者の話しもあるので、心当たりの人はチェックしたほうが良いかもしれません。

 

 トイレットペーパーやティッシュに加え、スーパーの棚の上のおむつもまばらになってきたそうですが、「マスクを作るのにこれらの材料が使われるので品薄になる」とか「トイレットペーパーなどは中国で作られているので、日本に入らなくなる」などというデマが飛び交ってパニック買いになったようです。

 

 さらにこの数日内に県内でも感染者が出たということで、市内の店からはそれらが瞬く間に姿を消してまったのには唖然としてしまいました。

 

 アメリカでは17~18年のインフルエンザのシーズンには感染者数は4500万人、死亡は6万人の大流行でした。そして今シーズンのインフルエンザの感染者は2600万人、死亡は1万4千人にも及んでいるそうです。

 しかるに、コロナの感染者は2月28日現在で59人なのです。

 

 日本でも今シーズンは、インフルエンザの感染者数が昨シーズンより400万人少ない1000万人で死亡は3千人というのだから、コロナ対策の副産物として良い方向に行っているのかもしれません。

 

 いずれこのコロナのフレアは治まるでしょうが、その炎に焼かれた影響がどこまで、どのように、どの程度になってしまうのかなどと心配の種は尽きませんが、それがただの杞憂であればよいと願っております・・・