第160回 子年(ねずみ年)徒然考

第160回 子年(ねずみ年)徒然考

 明けましておめでとうございます。

 

 今年の年末年始はどこにも出かけず、夜になると少しお酒を飲みながらあと何回干支を迎えることができるのだなどと、考えていたらあっという間に1週間が過ぎてしまいました。

 

 2020年の今年はオリンピックの年です。それまであまり関心のない人でもいざオリンピックが始まると、2020フレーフレーと応援してしまうのではないでしょうか。

 

 オリンピックは4年毎なので子年に限らず、辰年と申年もオリンピックイヤーになります。その干支に生まれた人たちは、自分の干支がオリンピックなので覚えやすく、うらやましいと思ってしまいます。

 

ねずみ算と少子化

「子年」 と書いてなぜネズミ年というのか、少し調べてみました。

「ねずみ算」という言葉があるほどネズミは子供をたくさん産むので、「子」という文字をネズミと呼ぶことにしたそうです。

 

 正月にネズミ夫婦が子供を産み、翌月にその子供たちがまた子供を産む、平均12匹生むとして12月までには280億匹にもなってしまうということです。実際には日本にいるクマネズミ、ドブネズミそしてハツカネズミは生殖可能期間が生後3か月以上で、生む数も5から6匹なのでそれまでは増えないのですが、ネズミ恐るべしです。

 

 昨年、国内出生数が86万人と120年間の統計後に初めて90万人を下回ったとのショッキングな数字が報道されました。私たちの年代の第1次ベビーブームには、年間270万人の仲間が居たことを考えると、その出生数は3分の1以下なのです。

 そして80年後の2100年には日本の人口が4771万人と予測されていますが、もしかすると4500万人も割ってしまい、65歳以上の高齢化率も50%になるかもしれません。

 

 今年の子年にあやかり「ネズミに見習え‼」をスローガンに、国は出生数増のあらゆる施策を打ち出してほしいものです。

 

昔のねずみ

 昔の家では、天井でドタドタとネズミが走り回る音が聞こえて、よく毒まんじゅうやネズミ捕りを仕掛けました。餌につられてかごに入ったら最後、ネズミはバケツに入った水の中にネズミ捕りと一緒に沈められ、あわれあの世行きになってしまうのです。

 

 30年以上前の夏の時分でしょうか、家の中がいつもよりハエがぶんぶんと多く飛び回るようになりました。そのうち居間で少し異臭がするので、どうも「この辺りから臭いがするのでは・・」と今にある押入れを開けたら、なんとそこには母がだいぶ前に仕掛けたネズミ捕りがあり、その中には皮だけになったネズミがいました。その表面が動いていたので、よく見たらなんとウジ虫がびっしりと張り付いており、そこからハエが飛び立っていたのです。

 

食料不足対策

 ペルーでは家の中で「クイ」というネズミを飼っていて、客人が来た時にご馳走として焼いて饗応するということです。ペルーに行った時にレストランで見かけたので、一度食べてみたいと思っていたのですが、残念ながら機会を逃してしまいました。

 

 近い将来に世界は食料不足になり、日本も食糧の自給率が低空飛行していますので、ネズミを改良し食用にすればだいぶ良くなるのではと考えましたが、いかがでしょうか。

 

干支のねずみ

 干支ができたのは大変昔で紀元前200年、中国の秦の時代ということです。なぜネズミが干支の最初になったかというのは、定かではありませんが日本の昔話に面白い話がありました。

 

 神様が元旦に「私の家に新年の挨拶に来なさい、ただし先着12匹までだよ」と動物たちに言いました。

牛は足が遅いので他の動物よりも早く出発しました。

 それを見ていたネズミは牛の背中にちゃっかりと乗っかり、神様の家に最初に着いた牛の背中から飛び降りて、抜け駆けして1番目になりました。

 干支に猫がいないのは、ネズミが猫に「神様は2日に来るようにと言っていたよ」と嘘をついてとだましたからで、その恨みでいつも猫はネズミを追い回しているというのです。

 

 「つくづく嘘はやはり良くないのだなあ・・」とほろ酔いの少しかすんだ頭で、昨年の日本の諸々の出来事に思い巡らしたのでした。