第124回 裁判所からはがきが届いた!! 〜詐欺の見破り方?〜
あるはがきが我が家に届いた。
それには「特定消費料金 訴訟最終告知のお知らせ」と題し、期日まで、はがきに記載されている地方裁判所管理局という所の電話番号に連絡しないと、強制差し押さえを執行するという内容であった。
このはがきによる被害はだいぶ発生しているらしく、埼玉県では63歳の女性が1110万円の被害にあい、仙台でも昨年に女性が100万円を振り込んだとのニュースがあった。
届いたはがきにはご丁寧なことに桐の紋章が薄く印刷され、本物風のオーラを何とか出そうと苦心惨憺の努力の跡がうかがえるできだ。届いた数日後に知り合いの弁護士と別件で話す機会があり、このはがきについて尋ねてみたら目からうろこであった。
以下A弁護士とのやり取りである。
私「先生、こういうはがきが我が家に届いたのです。詐欺とは思いますが先生のアドバイスを頂けますか?」
A弁護士「ああ、これですね、現物は初めて見ますが、明らかに詐欺つまり偽物ですね。」
私「どういうところが怪しいのですか?」
A弁護士「まず、この訴訟番号ですが、ひらがなで(け)となっていますが、民事ではカタカナなのでこれはあり得ません。ひらがなは刑事裁判に使用するので、そもそも基本的な違いがあります。」
後でわかったことだが、さらにそのカタカナ表記の前に裁判所名と平成〇年が必要。
A弁護士「さらに、これに記してある地方裁判所管理局というところも実在しません。そして、原告側の氏名や社名もなく被害の金額も特定されてないということはありえませんよ。」
私「家にこのようなはがきが妻宛に届いたのは2回目なので、余計怪しいとは思いましたがやはりそうでしたか。」
A弁護士「こういう文書を裁判所がはがきで出すということは絶対にないですよ。個人情報保護の立場からも、第3者が見ることができない封書で郵送するのが当たり前ですし、裁判所が直接当事者に出す時は書留郵便になります。」
私「万が一にお金を振り込んだら取り戻せるのでしょうか?」
A弁護士「所在がつかめない他人名義の口座が多いために取り戻すのは難しいでしょう。」
私「電話番号で加害者を特定できないのですか?」
A弁護士「やはり、他人名義やプリペイド式の電話あるいはレンタルの番号なので、頻繁に番号が変わり転送もあったりして、警察でもなかなか見つけることが困難のようですね。」
私「なるほど、よくわかりました。知り合いにもこのはがきを受け取った人がいるようなので、話しておきます。本当に有難うございました。」
同じ年代の知人にも何人か同じようなはがきを受け取った方がおり、警察に連絡したが被害がないと動けないといわれたそうだ。今の時代はインターネットではがきを出した相手や電話番号を検索できるので、不審に思った時はまずは調べてみることが良いようである。
また「法務省管轄支局」名で「国民訴訟お客様管理センター」や「訴訟最終告知通知センター」などといかにも「当局」のような紛らわしいはがきも多いそうなので、十分に気をつけたい。
全国の警察には数百件も消費者からそういうはがきが届いているようで、実際は何十万枚も発送しているようだが、はがきが1枚62円として50万枚出せば3100万円になる。詐欺一味のその手間や成功確率を考えると本当に割に合うのだろうかと、他人事ながら少し心配?になるのは私だけだろうか。
メールにも佐川急便や楽天の一目でわかる詐欺メールが届いたことがあるが、他にもクロネコヤマトやマイクロソフトやアマゾンなどを語った詐欺メールが横行している。
このようなオレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺などの「特殊詐欺」は年間に400億円から500億円の被害金額、2万5千人前後の被害者がいるという。
いつ自分が被害者になるのか、絶対にだまされないということはありえないので「老化」という避けられない「廊下」をどんどんと進んでいる自分でもあり、仕掛けてくる相手の術中にはまらないように常にアップデートを心がけていきたいと思う私である・・・