第119回 今年を振り返る 〜忘年会のことなど雑文〜
今年の漢字に選ばれたのが「災」ということで、その賛否両論はあると思いますが、個人的にはもっと明るい漢字にしてほしいと思いました。
12月にはいると忘年会に出る機会が多くなります。1年を振り返るのには一つの良い機会かもしれませんが、年末ですので忘年会について考えてみました。
最近、「望念会」や「望年会」と称して希望を持って来年も頑張ろうという前向きな忘年会もあり、そういう会はなんとなく浮き浮きするので参加しようという気にもなります。
一般の忘年会はその年の良くなかったことや苦労したことを忘れてリセットし、翌年に新たな気持ちで臨もうという宴会です。外国にはない日本固有の大事な大事なその歳の締めの行事なので、なるべく参加するようにしています。
会社などでやる場合、「今日は無礼講で・・・」などと言って始まったとたんに、上司や部下、先輩後輩、年上年下など関係なく「どんちゃん騒ぎ」などをしたらひんしゅくを買い、後で大変な事態になりかねません。
「無礼講」とは正しくは「無・礼講」と書いて「神に奉納した神酒を参列者も授かる直会が礼講」という格式ばった宴席なので、その後にリラックスして2次会を楽しくやりましょうということが「無礼講」という意味だそうです。だから失礼、非礼、無作法をいくらやってもいいという「無礼・講」ではないので、ある程度は節度を考えて臨んだ方が無難ではないでしょうか。
今年は自然が荒れ狂った年、世界の政治家やリーダーが暴走した年なので「暴年」と称しても良いかななどと考えています。又、そのおかげでたくさんの人たちが亡くなったり、指導者のために夢も希望も失くしてしまった「亡年」でもあったかもしれません。そして、そういう災害や戦争や政治家から自分たちを守る「防年」、あるいはそれに立ち向かい冒険をする「冒年」だったと考える人もいるのではと思います。
まさかこの1年を「呆年」とした経営者はいないはずですが、もしかすると「うちの社員の中に何も考えず何もしなかった」「呆年」社員がいるなどと考えている経営者がいたら、それは自分の責任なので反省して悔い改めなければならないでしょう。
1年を振り返ると経営者はいろいろなことが頭に過るかと思います。売上、利益、事業計画、事業承継、人手不足や得意先、社員、工場、店舗、部門、自社商品などなどキリがありません。忘年会に参加してもとても忘れる年という訳にはいかないのです。
売り上げが下がり始めるとどこまで下がるのか心配し、上がり続けていくといつそれがストップして下がってしまうのか又心配してしまう、下がっても上がっても悩みが尽きないというのが経営者かもしれません。
会社は○○周年を迎えると、記念誌の発行や祝賀行事を行うことが多いのですが、その時には必ず創業○○年の歩みをまとめて、誌面に印刷やパーティーで披露したりします。
そのようなことを年末や年度末に「今年のわが社の振り返り」とか「今年の回顧録」として、経営者自身で記録することをお勧めします。
なるべく月ごとに1枚の用紙に箇条書きで書きとめ、一目でわかるようにします。本当は毎月やればいいのでしょうが、1年を振り返り記憶を呼び戻すためにも、年度末に社長が四苦八苦、七転八倒しながら思い出しながらその作業を進めていくのが一番いいのではないかと思います。
ある程度の歳になると、昨日の夕飯のおかずが何だったのかを思い出すことができなかったり、隣の部屋に行って何を探しに来たのかを忘れたりするようになってきます。
ですから、1年を振り返るというのは相当苦労しますが、さまざまな事柄を思い出すことによって、「あの時はああやれば良かった」とか「こういうやり方もあった」とか「今年はこんなこともあった」などと回想や反省や事業の継続発展の種にもなるはずです。
そして、それを毎年続けていくことにより自分の思い描く方向に行くことができるのではないでしょうか。
経営者の方は連日の忘年会でお疲れでしょうが、年末には「望年会」そして新年には「進年会」の気持ちで、社員や部下の方たちと共に前向きになれるような良いお年を、お迎えしていただきたいと願っております。