第105回 昭和回想録その10 〜酒の想ひで〜

第105回 昭和回想録その10 〜酒の想ひで〜

 酒は「百薬の長」ともいわれている通り、良い付き合いができれば文字どおり薬になるが、昭和の時代にはそれとはかけ離れた飲み方をしていたのが、私も含め多かったように思う。

 

 「酒が飲める♪酒が飲める♪酒が飲めるぞ~♫」という歌詞で始まる「日本全国酒飲み音頭」の歌詞にあるように、昭和の時代にはいつでもどこでも酒を飲んだものだ。

 

 高校生の頃には、クラブの仲間との夕食時に大学生の先輩が乱入し、酒を持ってきて

 「酒ぐらい飲めねえと、大学に行けねえぞ!」などと訳の分からないことを言われて「いけないこと」とは知りながら、飲んでしまったことがあった。

 

 大学に入った時には、新入生歓迎コンパと称して居酒屋の座敷を借り切って、吐くまで日本酒を飲まされ、10人近くの新入部員はことごとくその座敷で討ち死にをしてしまった。その後も大学では、7人で一升瓶を10本飲み尽くし、一人だけが生き残ったこともあったが、実はその白虎隊の生き残りのような人間が私なのである。(自慢ではないです)

 

 やがて4年生になった時に、1か月ほど宮城県の沿岸部にある気仙沼市の学校建設のアルバイトで泊まり込みをした時のことである。

 夕食時に、同僚?の50歳位の職人が胡坐をかいた足の間にサントリーレッドの大瓶を置き、コップになみなみとそのウィスキーをつぎ、ごくりごくりと旨そうに飲み干した。

 彼は少しアル中らしく、それまでぶるぶると震えていた手がピタリと止まり、ご機嫌な顔で私にも「飲め、飲め」と同じようにコップ目いっぱいについで勧める。そんな飲み方はしたことがなかったのだが、せっかくだからとバリウムを飲むようにコップを傾け半分ほどあおり、一息ついで残りをなんとか胃袋に流し込んだ。更にそのウィスキー瓶を突き出して「もう一杯どうだ?」と言われたが、さすがに勘弁してもらった。

 その酒のせいか高所での足場の作業は無事事故もなく1か月間過ごすことができた。

 

 学生当時はカクテルが流行り、仲間の下宿で飲むときはコーラに安いウィスキーを混ぜたコークハイをいつも飲んだが、街のカクテルラウンジにも先輩に連れられ時々行ったことがあった。

 そこで、先輩は知り合いのバーテンダーに千円札を握らせ、私にそっと「これで飲み放題だぜ・・」とささやく。

 おかげで飲んだこともないカクテルをたらふく味わうことができ、その中で今でも忘れもしないカクテルがある。それは「ブルーファイアー」という超強烈なカクテルで、バイオレットとブルーキュラソとジンを層状に注いだ度数の高い甘めのカクテルである。これはそのバーテンダーのオリジナルということで、仕上げに火をつけると青い炎が出て女性にもてるというロマンチックなカクテルらしい。ただ、残念なことにその後一度も試す機会がなかった。

 

 社会人になるとやはり酒を飲む機会が多くなり、会社の上司の家に遊びに行った時など酒を勧められることが度々あり、時効だから言えるが酒気帯び運転をやってしまったこともあった。

ある晩に会社で宴会があり、皆酒が入って一番に年少の私が運転して数人を家に送る役目を仰せつかったことがあった。なにか胸騒ぎがしたので、運転する前にネギを思いっきり入れたうどんを最後に食べてから車を出した。少し走るとパトカーが停まっていて警官が灯火を振って停車を促された。

 「取り締まりやっています。酒飲んでいませんか? 飲んでない・・? それでは私の顔に息を吹きかけてください。」と言われる。フッとやったら、「もっと強く・・」、フウーッと少し勢いよくすると、顔を背け「ウッ 結構です・・」で無事通過。酒よりもネギの臭いが勝ったようで一安心。

 しかし、ほっとする間もなく数キロいくと又も検問有り。警官「取り締まりです。」私はすかさず「○○町でもやってましたね。」で、「ああそうですか。それでは結構です。」

 葱大明神のおかげで、先輩社員を無事全員送ることが出たのである。当時の飲酒運転の取り締まりは、酒臭いのを確認してから呼気検査だったので、今であったら完全にアウトであっただろう。

 

 仙台に帰ってからは、年末には必ず社内で仕事納めの納会があり、その場では一升瓶から注いだ茶碗酒で乾杯し、締めに万歳三唱してからお開きになって、その後は大半が車で帰宅というようなことが習慣であった。

 

 飲酒運転に罰則が適用されるようになったのは、1970年からでその後徐々に厳格化されて今に至るようである。

 

 もちろん、未成年者の飲酒や飲酒運転は絶対によくないが、昭和の時代の大虎小虎や酒が懐かしくなるのはなぜだろうか?

 

 昭和が終わり平成4年になると、それまでにあった日本酒の特級、1級、2級という制度が廃止されたことも、「昭和の酒」が恋しくなる要因の一つかもしれない。

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