第83回 社員の人財化 〜納得してもらう話法〜

第83回 社員の人財化 〜納得してもらう話法〜

 今から20数年前でしょうか、茶髪やピアスが流行り始め、高卒で入社したA君という社員が数か月したら、一晩で変身し頭がゴールデンレトリバーのようになって出社してきました。

 

 年配の女性は白髪を隠すために栗色に染めることはあっても、美輪明宏のように金髪にする女性はもちろん今でも皆無ですが、A君はやがてライオンのような金髪と髪型に再度大変身してしまったのです。おまけに狸の○○のように揺れるピアスも耳にぶら下げ、意気揚々と会社に来ました。

 

 本来なら彼の直属の上司が注意しなければならないのですが、なかなか言い出しにくいらしく数日が過ぎてしまいました。私は、彼の上司に「会社の内規もあるし、他の社員の影響もあるのでやめるよう注意しなさい」と言いましたが、なかなかうまくいかなかったようです。

 

 1ヶ月くらい経ったころに、A君はまだその状態だったので彼とすれ違った時に呼び止めて数分間話したところ、翌週から普通の髪の色になりピアスも地味なものになっていました。

 

以下、私とA君との会話

私  「おはよう、A君、少し話がしたいがいいかな?」

A君 「おはようございます、大丈夫です。」

私  「最近、工場にいろいろなお客さんが見学に来ているのを知っているかい?」

A君 「はい、今月も3回も自分の職場に来ました。」

私  「あの方たちは、得意先の会社の方もいるし、新しく当社と取引を検討して見学に見えた方たちです。そこで、君にも協力してもらいたいことがあるのです。」

A君 「なんでしょうか?」

私  「もし君があの得意先の方の立場だとして、取引を検討している2つの会社に見学に行ったと仮定して考えてほしい。両方とも品質もコストも納期もほとんど同じ会社の場合に、そこで働いている社員が全員金髪でピアスをしている会社とそうでない会社だとしたら、君はどちらを取引先に選ぶかな?」

 

 A君は真面目で素直なのですが、大人しくあまり目立たない青年だったので、社会に出てから自分のイメージを少しでも変えてみたかったのでしょう。その時は彼のそういう人柄もあり、私の話しを受け入れてくれました。

 

 「理解」はできるが「納得」しないと、人は動いてくれませんので、いかに「納得」までしてもらえるか具体的に話しをすることが社員を「人財化」するやり方の一つではないかと思います。

 

「話している内容はわかるが、同意あるいは肯定することができない」と心の中で思われると、「納得」し実行してもらうことができません。やはり手を替え品を替えて、よりわかりやすいように例を挙げて話した方がいいでしょう。

 

 また、大事なのは繰り返して何度も指導することです。「部下が注意してもさっぱり聞いてくれない」という管理職や職場の先輩がいますが、「何回注意したの?」と尋ねると「2、3回です」との返事。「10回同じことを言ってみて、それでもだめだったら100回言ってみるといいですよ。ただし注意した日付と回数は記録しておいてください」と話します。

 反対に彼の部下に話を聞くと「上司は私の意見を聞いてくれない」と言います。私が「何度上司にその要望を言ってみたの?」というと「1回です」との返事なのです。彼には「最低複数回、できれば3回以上は話してみたらいいよ。君も家族から1回だけ言われたことを覚えているかい?」と言いますと「納得」まで行ったのかわかりませんが、一応は首を縦に振ってくれました。

 

 ただまれに、上司が部下に何度か指導や仕事を頼んだ時に開き直る社員がいる場合があることです。そういう社員は「自分は能力がないから・・」「どうせバカだから・・」などと言ってあきらめてしまう態度をとってしまいます。

 

 人が働く目的の大きなものは、意識的か無意識的かに関わらず「人に認められる」ということですので、普段から声がけをして「あなたのことをいつも気にかけていますよ」というメッセージを常に送っていることが大事なのではないかと思います。

 

 社員を「人材」から「人財」に変身させるには、やはり昆虫の脱皮のように一皮むくたびに相当のエネルギーが必要ですので、経営者はそういうエネルギーが枯渇しないように日々その手伝いを考えていかなければなりません。

 

 「金を残すは下、業を残すは中、人を残すは上」という経営者への言葉は、まさしく言い得て妙であり、人生の道しるべともなる金言ではないでしょうか。

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