第80回 干支(戌年)雑考 〜犬の想ひで〜

第80回 干支(戌年)雑考 〜犬の想ひで〜

 新年早々に犬にガブリとやられてしまいました。

 知人がドッグランをやっているので顔を出しに行ったら、そこに遊びに来ていたゴールデンレトリバーがじゃれて私に飛び跳ねてきました。「いけない!」ということでその犬の顔をおさえたら、近くに遊んでいた知人のセッター種の犬がそのゴールデンを私がいじめたのと勘違いしたのか、吠えながら私の腿の後ろをガブリと咬んだのです。

 

 COME COME DOG(咬む咬む犬)「犬が来る来る」でめでたいのかなどと少し痛いのを我慢して変に納得してしまいました。

 

 ただ、去年の正月には酉年になったばかりの時に、河原で頭をトンビに掴まれ、今年はイヌにかみつかれ、干支の動物に縁があるのだなあと思い、来年の干支はイノシシなので猪突猛進の餌食にならないように用心することにしました。

 

 今回は、今年の干支が戌年ということで、犬にまつわる思い出などを綴っていきたいと思いますので、犬が好きな方だけでも目を通していただければ幸いです。

 

 

我家元祖犬

 私がもの心のついた時にいた犬は「まり」といって犬種は狆(ちん)の雑種でした。たった1枚残っている私が抱っこしていた写真があるだけで、どういう経緯により我が家で飼うことになったのかは定かではありません。ただこの「まり」が私の今に至る10頭目を飼うことになった我が家の元祖犬なのです。今でもおぼえているのは、夜中に「キャン」という鳴き声が聞こえて様子を見に行ったら、片目に石を投げられて怪我をしていました。それから可愛がっていた「まり」は元気がなくなり死んでしまったのです。狆という犬は、世界で初めて日本固有の犬種として認められ、徳川綱吉の「生類憐みの令」もこの狆がきっかけでできたのだという説もある位日本の固有種のようですが、それ以来見かけたことは一度もありませんでした。

 

昔の犬の飼い方

 昔は普通に犬を放し飼いにしている家も多く、時々見回りに来る保健所の職員に捕獲されないように飼い犬は鑑札を付けて野良犬と区別するようにしていました。それでも時々捕まえられたりするのと、自動車事故にあわないようにとか、咬んだりしないように鎖でつながれて飼われるようになりました。我が家でも何代目かの犬が放し飼いしていたら、自動車にひかれて死んでしまい、ゴザにくるまれて運ばれるのを泣きながら見ていたことを記憶しています。

 昔の犬の寿命は7年位でも今よりも半分くらいしか生きることができませんでした。その原因は対狂犬病にしか予防注射がなかったからで、蚊が原因のジステンバーにやられることが多かったようです。

今のように家の中で飼い定期的に散歩することはあまりなかったような気がします。大概は柴犬くらいの大きさの雑種で、庭先にある犬小屋にヒモや鎖でつなぎっぱなしでしたが、放してやるとどこかに遊びに行って時間が経つと帰ってきました。餌も残ったご飯に味噌汁や余ったおかずを入れる程度で喜んで食べていました。

 

TVの名犬

 1950年代はアメリカのテレビドラマが数多く放映され、その中には犬が主人公の忘れられないドラマが二つありました。

 

 一つは「名犬ラッシー」で、賢いコリー犬のラッシーが飼い主の少年を求めて冒険する内容はハラハラドキドキと時には感動をよぶその展開は目を離せませんでした。コリーは当時大流行になりましたが、今ではほとんど見ることがありません。

番組を提供するミツワ石鹸の「ワッワッワー♪輪がみっつ♪」のコマーシャルソングが今でも思い出します。

 

 二つ目は「名犬リンチンチン」です。アパッチ砦に駐屯する騎兵隊のマスコットの少年と愛犬リンチンチンによって繰り広げられる冒険西部劇は、騎兵隊とインディアンの戦いもあり勇猛果敢なリンチンチンの活躍は息をのむばかりでした。主人公のハリス少年の名は番組提供スポンサーのチューインガムメーカーハリスから転用されたようです。

 

 ラッシーはメスでリンチンチンはオスなので、その違いも番組によく出ていました。

 

 その他にも犬の思い出は尽きなくて、「初代アイボ」を購入した時の話しや南極に生き残っていた「タロとジロ」の感動したニュースなどがありましたが、また別の機会にしたいと思います。

 

 昨年に全国の犬と猫の推計飼育数が発表され、猫が953万匹に対し、犬は892万匹と初めて猫が犬を上回ったことが残念でしたが、愛犬家の私としては今年から飼い始めたおそらく最後になる10番目の犬「テン」と新たな人生と犬生を一緒に全うしたいと誓った新春でした。