第67回 絶対に観たい映画ドリーム 〜隠れた人物と数字〜

第67回 絶対に観たい映画ドリーム 〜隠れた人物と数字〜

 久しぶりに感動した映画に出会いました。

 

 それは「ドリーム」という映画で、アカデミーショーにもノミネートされたのですが、残念ながら選ばれませんでしたが、アメリカでは3週連続ナンバーワンの「ローグワン・スターウォーズ」を退け全米チャート1位になった映画です。

 

 1962年にアメリカ人として初めて地球周回軌道に乗ったジョン・グレンが、飛び立つ前に最後に頼ったのがある黒人女性、そしてそれを成功に導いた黒人女性たちの物語なのです。

 

ぜひとも、まだ観ていない方は映画館に足を運んでほしいものです。

満足できなかったら私が料金を払い戻します!!(冗談です・・)

今回はそのとんでもなく勇気のもらう素晴らしい映画の紹介です。

 

 映画を観たのは平日夜の最終上映でしたが、それにもかかわらず観客が3割ほど入っていました。

 

 私は趣味の一つに映画鑑賞もあり、今年は映画館では20本、自宅では60本以上の映画を観ていますが、いまのところ今年一番、いやここ数年で一番の映画かもしれないと思ったのです。

 

 この映画の原題は「Hidden Figures」隠れた人物という地味なタイトルでありますが、日本向けに「ドリーム」と改題したようでした。 

 

 映画の舞台は1960年代のアメリカ、東西冷戦の真っただ中の時代です。有人宇宙飛行計画を当時のソビエト連邦と競っていて、アメリカはマーキュリー計画という国を挙げての一大施策を成功させようと必死になっていました。その計画を達成するためには数学者の存在は必要不可欠で、その人材不足により主人公の3人の黒人女性が登場することになりました。

 

 当時は、人種差別がまだ根強く残っており、さらに女性への仕事に対する偏見もあり、その3人は職場で理不尽な待遇や苦難に見舞われますが、それを乗り越えていくという物語です。なにしろ、職場ではトイレも水飲み場も働く場所も白人と差別され、町でも学校やレストラン、映画館、公共交通機関などあらゆるところで「別」にされていた時代でした。

 

 その3人の女性は実在したアフリカ系アメリカ人の数学者のキャサリン、ドロシー、メアリーであり、彼女らをもとにした実話であり、彼女らの素晴らしい才能はもちろんですが、一歩も後退することのない努力や前向きなチャレンジ、男顔負けのガッツの精神などで難攻不落な未踏の山を目指すように自分の運命を切り開いていくストーリーは、2時間以上の映画とは思えぬくらいに短く感じて、見入ってしまいました。

 

 その難関を突破していく毎に観ている私も主人公たちと一緒に、怒ったり落胆したり嬉し泣きしたり大喜びしたりと、これほど映画のストーリーに同化してしまったのは久しぶりでした。

 

 もちろん映画と史実には多少は違いもあると思いますが、その山あり谷ありの道を進んでいく姿は、きっと経営者にも勇気を与えるのではないかと思ってしまいました。

 

 原題の「Hidden Figures」は、「人物」という意味のFiguresと「数字」の意味のFiguresを意図したものであり、歴史的な大偉業の陰に隠れた人たちを初めて表舞台に登場させた映画でもあり、アメリカ人でもほとんどの人がそのことを知らなかったようでした。

 

 NASAの宇宙研究本部の責任者として、ケビンコスナーも出演しておりなかなかに厳格の中に公平な人物として良い味を出しており、また宇宙飛行士のジョン・グレン役のグレン・パウエルもエリートなのに気さくな人柄を好演しており、人種差別のその時代でも白人の中に懐の深い人物も多々いたのだと少し安心したりもしました。

 

 そして、隠れていたヒーローの一人、キャサリン・ジョンソンは2015年97歳になって、この計算方式を編み出し地球周回を成功に導いたとしてオバマ大統領から大統領自由勲章を授与されたとのことです。