第45回 犬派のひとりごと 〜ブタはイヌよりも賢い?など〜

第45回 犬派のひとりごと 〜ブタはイヌよりも賢い?など〜

「福島ノラ牛物語」という牛を擬人化した小説で、原発事故のその後を殺処分から逃れようとする牛がイノシシやカラスと協力しながら生き抜こうとするフィクションを読んだ。現職の獣医が書いたということでなかなかにリアリティがあり、いろいろと考えさせられた。以前にインドに行った時に街中のあちこちに痩せこけた牛が、街中でボーット佇んでいるのでガイドに「あの牛は何なのだ?」と聞いたら「インドはヒンズー教なので牛を殺せないので、乳が出ないオスはノラ牛になることがある」という答えで妙に感心させられた覚えがあり、そのことを思い出してしまった。

 

 昔の日本は、ノラ牛などではなくノラ犬が圧倒的に多く作業服を着た野犬狩りの人達をよく見かけたものだ。最近ではペット化が進み日本では1000万頭近くの犬が飼われているようであり、以前には猫よりも頭数が多く数年前は1200万頭も飼われていたが、今はほぼ同数で外飼いの猫を入れると数では劣勢になってきているらしい。

 

 犬を飼う理由は人によりいろいろとあると思うが、やはり飼い主には従順で頭も良く飼いやすいことがあげられる。そこで、犬は動物の中でどのくらい頭がいいのかを調べてみたら驚くべきことがわかった。もちろん人間を除いてだが、1位は当然にチンパンジー、2位がなんとブタなのである。訓練をすれば犬よりも芸を覚えるといい、見た目で勝負できないブタは本当に可哀そうであると思いながらも、ついサムギョプサルやホルモン焼きを食べてしまうのである。3位は順当にイルカで4位がオウムで納得、5位がクジラ、6位にイヌが登場する。7位はなんとタコということで、タコよりも少しだけ頭がいいのがイヌだといわれると、つい先日に台湾で犬猫を食べる禁止令が出たの報を知って妙に納得してしまう。8位がゾウで9位がリス、10位にかろうじて入ったのはネコということで、自分がイヌ派なのでネコ派に対してつい胸を張ってしまう。

 

 猫は祟るとか化け猫になるとかの噂があるが、犬は忠犬ハチ公や南極のタローとジローのように涙失くしては語れない犬たちや、警察犬や盲導犬、救助犬など大変な活躍をしている。ちなみに、忠猫や警察猫、盲導猫、救助猫などは聞いたことがない。

 

 昔はポチやコロの雑種の犬を飼うということは、ペットとしてはもちろんだが、不審な人物が来たら吠えるという番犬の意味合いも兼ねていたのだ。しかし、今や犬はほとんどが品種改良されて小型化になっており、自然の天候にも弱いので家の中で飼われており、昔テレビで活躍した「名犬リンチンチン」や「名犬ラッシー」のような犬はほとんど見かけなくなってしまった。

 

 我が家でもゴールデンレトリバーを飼っているが、実は今の犬で9頭目であり9番目なので「キュー」という名である。私がモノ心ついた時から犬を飼っており彼らの名前は、まり、ジョン、てる、不明、ボス、ジロー、ナナ、昨年末に死んだジェニーそしてキューである。死んでしまった原因は、いたずらで石を投げられたり、車にひかれたり(昔は放し飼いにしていた)、行方不明になったり、ジステンパーなどであったが、最近は寿命が長くなり直前の2頭は大型犬ながら、皆老衰に近い病死であった。

 

 行儀がよく優しい性格のゴールデンのナナは14才近くまで生きたが、人間用のおむつをして介護状態が続き、亡くなった時は家族皆で涙したものだった。

 

 キューと2頭飼いしていたバーニーズのジェニーは体重が38㎏もあり、大変な食いしん坊だったのに急に食欲がなくなり、入院後に5日であっけなく死んでしまった。獣医師に夜を徹して心臓マッサージをやっていただいたが、肝臓がんで手のほどこしようがなく、息を引き取ったのは11才まであと1か月の昨年10月であった。まだぬくもりの残っている体を毛布に包み、車の中でスマホのお経を流しながら妻と帰宅した。

今では2頭ともペット専用の墓地にあるお墓に仲良く入っていて、時おり墓参りに行くが、年に一度の大供養の時は人間と同じようにお坊さんが数人でお経をあげ大混雑になる。

 

 特に大型犬となると病気の時の世話が人間並みにしなければならないので、自分が腰を痛めたり病気になったりすると大変である。かといつて、今流行りのトイプードルやチワワや小型のミックス犬などは、あまりにも小さく家族というよりペットという感覚しかないのでどうしても存在感がある大型犬を頭に浮かべてしまう。

 

 人間も長生きするが、犬も長生きするのでこの先もまたもう一頭飼うと、私と犬とでどちらが先に寿命がくるのかなど、悩みが深いこの頃なのである。