第39回 目からウロコのお金の使い方〜福利厚生〜

第39回 目からウロコのお金の使い方〜福利厚生〜

先月末に、仙台の1946年創業の老舗デパートが自己破産してしまいました。そのデパートは、仙台駅前に立地していて、郡部の小学生が修学旅行などで仙台に来た時は必ず立ち寄るという名所でもあったのです。ほっぺたの赤い子供たちが、デパートの入り口で引率してきた先生に「必ず集合時間まで戻るように!」といわれ、クモの子を散らすようにその中に入っていったのを見たこともありました。

 

私は当時小学校の頃にお金が貯まると、近所の友達らと片道15円の市電に乗り昔の「丸光デパート」に行き、4階のマジック売り場での実演販売を何時間も見ていました(当時から手品が好きでした)。お腹がすくとデパートの大変に広い食堂で、50円のラーメンを食べ余裕があれば30円のソフトクリームをなめたものでした。全部で使うお金は110円でしたが、当時の1か月の小遣い300円から見ると大金で、臨時収入の時だけのお大臣ミニ旅行でした。

 

それはさておき、やはり倒産の直接の原因はお金であるのはいうまでもありません。そこで今回は「目からウロコのお金の使い方」と題して特に福利厚生施策をメインとして、効果的な使い方を紹介してみます。

 

賞与

社員にとって賞与はもちろんいくら多くても文句を言うことはありませんが、経営者は多少支給額を奮発したつもりでもあまり効果がありません。場合によっては、前年は上げたのに今年はあまりよくないので、下げてしまうと社員の士気が下がってしまうことがあります。そこで次のようにしてみることを検討してみてください。

例えば「今年は利益が出たので8万円余計にあげたい」と社長が考えたら、

そのうちの5万円は社員の賞与に加算し、残りの3万円は「カアサンクリスマスプレゼント」あるいは「カアサンお年玉」として、社員の奥さんかお母さん宛に「現金書留」で社長のメッセージを入れて送るのです。自分が自由に使える現ナマを3万円持つという機会は、主婦にとってなかなかありませんので、会社も亭主(子息)もその時だけは見直すかもしれません。きっと社長にもお礼の手紙や電話もたくさんくるでしょう。

もちろん、税金の処理はきちんとすることはいうまでもありません。

 

プレゼント

あまり予算がない場合の効果的な手段としては、盆暮れに社員やその家庭にお中元やお歳暮をやるのも効果的です。その場合は、量は多くなくとも普段なかなか手が出ない国産のウナギやフグあるいは国産の○○牛などが感激されるます。量があってもいつも食べることができるものは、あまり印象に残らないのでやめたほうがいいでしょう。予算は5千円もあれば十分です。

また、私が以前に飲食店をやっていた時は、パートさんに誕生月に花を送っていましたが、特に女性には喜ばれました。一般の企業であれば少し上等な牛豚鶏肉なども、朝礼時に誕生月日と一緒に社員に紹介して、できればおいしい食べ方などのレシピも入れてやると良いです。

夏の暑い盛りには、1か月くらい毎日1本100円位の栄養ドリンクを飲んでもらうのもなかなか効果的です。予算は一人当たり2千円位なので、50人の企業でも10万円ですみます。冬は寒い現場であれば、ヒートテックなど防寒用下着を支給するのも喜ばれるはずです。夏は作業帽の代わりにバンダナを希望者に支給した時もありました。

 

資格補助金

企業は各種の国家資格や技能資格取得者に対して、応分の成功報酬や毎月の資格手当を支払うことが多いですが、できれば一括の報奨金として出したほうがいいでしょう。例えば、ある技能資格を取得して毎月3千円を手当てで支払うとすると、1年で3万6千円、10年であれば36万円になってしまいます。それに法定福利費や本人に税金も毎月かかってしまうので、一括で10万円とかで支給すれば2年半くらいで同じ金額になります。また、一度に支給すると本人も大変に満足するようですし、資格を取る意欲も出てくるようです。以前にいた会社では、その制度をしてから女性も含む正社員のうち70パーセント以上が技能試験の資格をとりました。

 

 

名刺

従業員には、正社員、フルパート社員、パート社員、派遣社員、アルバイトなどの雇用形態がありますが、私は正社員からパート社員には全員名刺を作って本人に渡しました。パートの女性はあまり自分の名刺を作ったことがない人が多いので、驚きながらも喜んでくれました。その名刺の一枚は胸につけるネームプレートとしても活用します。もちろん4月に入社した新入社員にも作って渡すと、はにかみながらもうれしそうにしていました。

中堅社員になると技能資格や各種の資格を取得する社員もいるので、名刺の名前の上に○○2級技能士なども入れることにしています。また、管理者になったらイラストの似顔絵を名刺の右上に入れて、本人の自覚とやる気に少しでもプラスになるようにもしました。

 

その他にもあまりお金をかけないで社員が「やる気」を出してもらう策がありますので、もっと知りたいという要望などありましたらご紹介したいと思います。

 

最後に、「目からウロコが落ちる」とは新約聖書が語源だそうで、視力を失くした人にイエスの使いがきて顔を撫でたら、目からウロコのようなものが剥がれ落ちて目が見えるようになったということです。そこから、先入観や今までやってきたことなどと違った考え方や手法をやることによって、モノゴトが広く見えるようになったりステップアップすることができたという意味になったようです。