第27回 大きな石と小さな石 〜目標を達成する方法〜

第27回 大きな石と小さな石 〜目標を達成する方法〜

以前に、市内で外国人留学生と話す機会がありました。集まったのは20数人で、中国人が多かったのですがネパールなど他の東南アジア諸国や欧州からの留学生も三分の一ほどいたようでした。

「日本で働きたい留学生」を支援する組織が主催した集まりで、ほとんどの留学生からは日本の企業に対して好意的な意見が出ていましたが、スウェーデン人から「日本の会社は従業員をこき使う」との話しがあって、よく聞くと彼は飲食店でアルバイトをしており、だいぶきつく働かされたようで卒業後は、日本ではあまり働きたくない様子でした。

 

そこで私は次のように彼に話しました。「日本には250万社以上の企業があります。そして百年以上の営業している会社が2万社以上あり、95%以上が中小企業です。これはどういうことだかわかりますか? 日本の中小企業は業績が悪くなると、一番始めに会社のトップの報酬を見直し、次に管理者の待遇を変更し、それでも業績が良くない場合は社員の残業を規制したりワークシェアリングをしたりする。最後の手段が人員整理というのが日本の中小企業のやり方です。日本以外の国ではほとんどが逆のプロセスで会社を経営しているようです。こういう経営をしているので日本の企業は長寿命の会社が多いのですよ。いちばん長い会社は千五百年もやっている金剛という会社まであります。」

 

この話を聞いて質問したスウェーデン人だけではなく他の外国人留学生も同様に驚いていました。

もちろん、会社が永く営業を続けられてきたのは上記の理由だけではないのですが、目的目標を明確にして経営することを社会的に意義あるものと考えたり、いい意味での家族経営や他社との共存共栄をはかったりしながらやってきたことが、世界でも類を見ない長寿企業が多数輩出された要因ではないかと考えます。

 

会社を経営するうえで一番大事なのは継続することです。もちろん瀕死の重傷でも生きながらえるという事ではなく、健全健康につまり利益を出しながら長生きすることであります。

 

経営者の皆さんや自分の仕事を日々頑張られている方は、その目的目標を達成するためにご苦労されているとは思いますが、その参考になればということで、「大きな石と小さな石」という逸話を紹介します。

 

ある親方から、AとBの二人の弟子が各々樽に大小の石を入れる仕事をいいつけられました。

 

「この石を樽にきっちり詰めておけ!」

 

Aの男は小さな石を軽いし簡単だし入れやすいので、片っ端からドンドン入れていき、その上に重くて扱いにくい大きな石を載せていく。小さな石の上に大きな石が重なるだけで樽からはみ出てしまい、結局入りきれなくてAは困り頭を抱えてしまいました。

 

かたやBの男は少し考えてから、大きい石を何個か樽に入れそのあいた隙間に小さな石を詰めていく。そしてもう一度大きな石を入れまた小さな石を詰めていく、これを何度か繰り返したら大きな石も小さな石も全部の石がきっちりと樽に納めてしまったのです。

 

この話しは、自分にとって重要なこととあまり重要でないことを、限られた時間や歳月でどのように処理していくかということを語っています。会社での仕事のやり方でもあり、個人の生活の過ごし方にも当てはまることなのです。

 

重要なことや大事なことは、どうしても手間がかかり苦労もしそうなので後回しにし、簡単ですぐやれることを優先してしまいます。

 

結局振り返ると小さな石ばかりがたまって、大きな石はいつまでたってもはいらなくなってしまう。

そんな人生にならないよう自分にとって、どれが大きな石かそれとも小さな石か見極め行動すれば、自分の樽にも大きな石が入るようになるのです。 

 

長く経営を続けてきた中小企業が今もあるのは、「大きな石と小さな石」をうまく入れていったこともその要因のひとつなのではないでしょうか。