第26回 ノーベル賞と北欧のことなどなど…

ノーベル賞をまた日本人が受賞!!の報を見て真っ先に頭に浮かんだのが「ノーベル賞飴」であった。それは以前にストックホルムに行った時に買った「ノーベルメダルチョコレート」の影響が大きいのかもしれない。

ノーベル賞飴は1949年に湯川秀樹博士が、日本人初のノーベル物理学賞を受賞した時に大長食品という会社の社長がそれを記念して発売し、その後1959年にはノーベル製菓と社名変更したという。

 

ちなみに現在はノーベル賞飴という商品はもう製造していないそうである。

我々団塊の世代は記憶している方も多いはずで、たしかはちみつ系の味がする飴だったと思うが、「脳減る少飴」と云われたこともあり、社長が怒って製造をやめたという噂もあったようだ。

 

ノーベル賞でやはり、次に頭に浮かんだのが「北欧」という国のことである。我々が想像するそのイメージは、安心安全清潔ということが真っ先に浮かぶが以前に行った時に、次のようなことがあった。

 

スウェーデンの首都ストックホルムの玄関であるアーランダ国際空港での出来事である。

着後、同行のツアー客と一緒にピックアップのバスに乗り込んだら、社内前方に添乗員のO氏が座るはずのシートに、東洋人風の見知らぬ男が座っていた。現地のガイドかなと思っていたら、その男がそそくさとバスから降りて行き、そのあとが大騒ぎ。

なんと置き引き犯でO氏のバックが盗られたのだ。O氏がバスの車体へ積み込むツアー客の荷物を外で手伝っていたスキに、その男がさりげなく椅子に座り込み物色していたのを我々は勘違いをして見逃してしまったのだ。O氏は本物のガイドと一緒に空港の駐車場を汗だくになって走り回り探したが、結局逃げられてしまった。私が座った椅子の2つ前にその男は座っていたのだが、顔もほとんど覚えておらず反省した次第である。

幸い盗られたのは、あまり重要でない書類だけということで一同一安心したが、私はその男の大胆不敵な行動と北欧という安全なイメージとの落差に驚いてしまった。後で聞いたらこういう事件はたまにあるようで、殺傷事件は少ないが置き引きかっぱらいには、常に注意しておかねばならないらしい。

 

ストックホルム市内ではノーベル賞の受賞式でもお馴染みの市庁舎内の見学。晩餐会が開かれる「青の間」では、1,300人の人たちが一堂に会して食事をするが、よくそれだけの人数が入れるものだと思ったが、やはり席は大変狭くなり肘が触れ合うくらいだそうである。

晩餐会のあとに舞踏会が開かれる「黄金の間」、ここはガラス細工に金を張り詰めたとんでもなくきらびやかな部屋であった。

 

この後はノーベル博物館を見学し、ノーベル賞の受賞後の晩餐会の最後に出されるデザートと同じものを、そこのカフェで食べることができる。皿にはアイスクリームと「ノーベルメダルチョコレート」もついており、2000円ほどしたが少しだけ授賞式の気分を味わうことができた。

 

北欧で驚いたのが、物価の高さであった。

ストックホルム市内で昼食に日本レストラン風の「将軍」という店にはいり、エビワンタンラーメンと餃子を食べる。これで180クローネ3500円、スープ少なく上にのった具材は胡瓜、大葉、大根、ブロッコリー、カリフラワーなどアラカルトであった。生野菜サラダ乗せラーメンではないかと思うくらいで、やはり北欧人は「生」を食べたいのだと思ってしまう。

他のレストランでも半分ほど入ったグラスワインが1,500円から2,000円 中ジョッキビールも1,200円から1,800円位もする。ボトルのミネラルウォーターは売店で買っても400円位と高いので、旅の間は成田で買ったお茶の空ペットボトルでホテルの水を汲んで、水筒代わりにしたものだ。ちなみに旅の最終日にコペンハーゲンの空港で食べた日本製でないカップ麺は、500円であった。

20年以上前に行った時には、そんなに物価が高いとは感じなかったが、やはり日本の国力が落ちてきたのを実感する。

2015年、GDP 一人当たりの1位はルクセンブルクが102,700ドル、スイスが2位で80,600ドル 3位がノルウェーで74,600ドル、スウェーデンは12位だが50,000ドルである。おかげで北欧では肩身の狭い思いをし、フィリピン人が日本に来たらこのような思いをするのだと少し反省する。

ちなみに日本は26位32,500ドルでノルウェーの半分以下、僅差で韓国30位27,200でアジアではGDP 一人当たりが日本より上位なのが、マカオ、シンガポール、香港でありブルネイが27位と続いている。

 

「ジャパンアズナンバーワン」は、もう昔の話しということをまた改めて認識し、今からは我々一人ひとりが次の世代の為にもいろいろな意味での「質の向上」を目指すべきと思った次第である。