第6回 グリコキャラメルランナーの正体?

 先日、仕事とボランティアを兼ねてフィリピンのマニラとセブに行ってきました。

 

 フィリピンの子供達は、貧しい子が多いのにみんな明るく元気で跳ね回っていました。

 

 それで、ふと思い出したのが13年前にフィリピンの工場を立ち上げて間もない頃に地元の「マニラ新聞」の片すみにあったコラムの記事でした。

 

 マニラに長年住んでいる牧師さんが「グリコのキャラメルのランナーは、フィリピン人がモデルです」という内容でした。

 

 グリコが誕生したのは、大正11年、その前年の大正10年に、「第5回極東競技大会」(今のアジア大会)が開催された。この、マラソン競技に出場していたフィリピンのカタロン選手。両手を挙げて満面の笑顔でゴールする姿が、健康増進に役立つキャラメルのイメージにピッタリだということで、モデルとして採用されたとのこと。

 

 最近では、日本人の子供がモデルだったとの説もあり、真偽は定かではないが確かに初期の「グリコランナー」の顔は東南アジア系に見えなくもない。

 

 マニラ新聞を見た当時は「トリビアの泉」という番組が、大変人気がありよほどそれに応募しようと思ったりもしたものだ。

 

「トリビアの泉」の人気の秘密は、2つあったのだと考えた。

 

1つ目は、「知識欲」を満たしているということである。

 

人間の「知識欲」は誰にでもあって、自分の知らないことを知るということは、楽しいし愉快なことだということをうまく掴んで番組を作っているせいなのではないか。我々にとって、社会人になって始めて仕事をする時、配置転換になり新職場に異動になった時、自分の会社での立場が変わった時、新しい販路を開拓する時、新しい製品を開発する時など、いかに前向きにその「知識」を得るか、そして咀嚼して自分のものにするのかが大事なのである。新しい未知なるものを見て知って行動するということは、本来楽しい事のはずである。なかなか「仕事」となるとそうはいかないという意見があるかもしれないが、「新しいもの」に対して肯定的に向き合うか否定的に向き合うかで、「面白い」の針が左右に振れてしまい、その後の人生に影響するのではないかと思う。

 

「トリビアの泉」の人気の秘密2つ目は「自己の認知」である。

 

 視聴者がこぞって自分の知っている知識を番組に投稿し、「認知」して欲しいという無意識の欲求を満たしているからとも考える。自分の努力の過程や、なんらかの機会で知りえた知識を、他人に伝えることにより「へーっ」と感心され、認めてもらえる。これは自分の成果を同僚や先輩上司が認めてくれることであり、会社としては、得意先や業界、マスコミ、地域社会などが認めてくれるということである。プロ野球の世界では、打率3割を境として名選手かそうでないかが決まる。年間500打席に立ったとして、150本ヒットを打てば3割、140本だと2割8分と、たった10本の差で天と地の差になる。ただこの10本の努力の差が「認知」してもらえるかということになる。

 

 企業でも家庭でも、部下や家族の「知識欲」や「自己の認知」つまり認めることを意識的にやってやることにより、いろいろな問題が「うまくいく」のではないかと思うのです。