第215回 経営者の過去・現在・未来 〜映画クリスマス・キャロルから〜

第215回 経営者の過去・現在・未来 〜映画 クリスマス・キャロルから〜

年の瀬を迎えると今年の出来事の振り返りと今の自分の立ち位置、そして来年以降のやるべき事や希望や夢などに思いをはせる人が少なくないでしょう。

ましてや、経営者や責任のある立場の人や、フリーランスで仕事をしている人などはその思いが強いはずです。

 

私はこの時期になるとディケンズ原作の映画「クリスマス・キャロル」をいつも見ていますが、この物語は何度も映画化されていて、原作に忠実なもの、現代版、ミュージカル版、アニメ版など幾つもあり、飽きることはありません。

 

物語の基本的なあらすじは、ある強欲で思いやりのかけらもない金貸しの老人スクルージが、クリスマスの前日に「過去」「現在」「未来」の精霊に導かれ、時間の旅をしながら彼自身のありさまの光景を見させられ、自分の生き方を見つめなおすという内容です。

 

精霊たちはスクルージには、強制的や指導などのようなことは一切言わないで、彼に自分で行ったこと、現実のこと、将来なるかもしれない姿を見せるだけで、自分で考えて行動することを促しているようです。

 

経営者やそれに準ずる人も同じように過去、現在、未来を振り返り、反省、見直し再検討、計画と同様のPDCAのCHECKから始めることも必要でしょう。

特に経営の3大要素の「ヒト、モノ、カネ」それに加えて「技術」「情報」「健康」について、管理方法がどうだったのか、どうあるべきかをそのまな板に載せることが大事です。

 

「過去管理」を振り返る場合は、「ヒト」は教育の進展状況や入社した社員の勤務状況の総括をすることです。

「モノ」は建物や装置や設備等投資関係の成果見極めや故障不具合の状況などです。

「カネ」は売掛金の回収確認や借入金の返済と金利状況についてです。

「技術、情報、健康」などについては、業界での立ち位置や過去の情報の見極め、会社関係者の健康状態とその対処方法などがあります。

 

「現在管理」については、「ヒト」は教育の結果の見極めや、在籍社員の適材適所の判断などがあります。

そして「モノ」は現有設備の稼働状況や、改善活動結果や設備のメンテナンス状態などです。

「カネ」は借入先の金利や保証人の見直しや、自己資本比率や労働分配率の現状把握をします。

「技術、情報、健康」は、技術が陳腐化していないか、自社独自の技術があるのかということや、現在の収集方法は適切で生きた情報がはいっているのか、経営者や社員の健康保持に積極的に取り組んでいるのかなどがあげられます。

 

「未来管理」については、「ヒト」を「人在」から「人材」そして「人財」化する体制、経営者や管理者は自分の分身を作る計画などが大事です。

「モノ」は工場や支店の積極的見直しや予防保全の実施などです。

「カネ」は借入金返済予定の早期償還繰り上げや資金有効活用なども大事です。

「技術、情報、健康」は、自慢できる技術・ノウハウ作りやQCDSの向上、そして取引先信用情報の把握や未来情報の積極的活用、さらに健康経営へのアプローチも必要です。

その他としては、BCPつまり事業継続計画の作成も必須になります。

 

金貸しの老人スクルージの前に現れた幽霊は、「金銭欲にまみれた人間にどんな悲惨な運命が待っているか」ということを教えました。

経営者は自分や会社の過去、現在、未来を見つめて決して自分がスクルージの分身にならないようにしたいものです。

年末年始の休日には、少し時間を作って「クリスマス・キャロル」を是非ご覧になってみてはいかがでしょうか。