第22回 技能実習生解雇について

第22回 技能実習生解雇について

なんでもいいからさ 本気でやってごらん 本気でやれば たのしいから

本気でやればつかれないから つかれてもつかれがさわやかだから 『相田みつを』

 

(若い頃 100時間以上残業しても目標に向かって本気でやっていた頃は、楽しかったし、疲れも感じませんでした。何事も頼まれ仕事では無く、自分の仕事と思って本気で取り組みたいものです。)

 

今回は技能実習生の解雇について報告します。

 

技能実習生と解雇

技能実習生は、開発途上国等への技能移転を図ることを目的として国の制度として設けられているため、解雇には特別な注意が必要です。

 

★有期労働契約と解雇

技能実習生は、在留期間に限りがあるため有期労働契約により雇用されています。

有期労働契約の場合、その雇用期間中は、やむを得ない事由がある場合でなければ解雇できないと規定されています(労働契約法第17条第1項)。

                  

外国人技能実習生であっても日本人と同様に労働基準法が適用され、解雇事由には客観的に見て合理的な理由が求められます。

例としては、会社の経営難になったから、外国人技能実習生のみを実習期間前に解雇し、日本人従業員を残せば不当解雇になります。

他の日本人と同様に、労働組合に加入する権利を持っているため、こうした機関から受け入れ企業に不当解雇であるという告訴される可能性もあります。

差別やハラスメントに対する世間の目が厳しくなっていており、正当な理由がなく、外国人技能実習生だけを解雇すれば、外国人差別ではないかと糾弾されてしまいます。

しかしながら、いくら解雇できないといっても、一定の基準を満たせば解雇を行うことが可能です。

解雇を行う際の大前提として、

※1 客観的に見て合理的な理由があること。

※2 社会通念上相当であると認められないと解雇を行うことができない

というものがあります。

極めて曖昧な基準ですが、誰がどう見てもこの人は解雇するぐらいに勤務態度が悪い。会社の経営が、経営者の努力でカバーしきれないほどの業績悪化があり、会社を継続させていくには従業員を減らすしかない。

と言う状況でない限りは、解雇を行うことができないと思って下さい。

しかし、こうした状況での解雇を従業員が受け入れなかった場合には、裁判所などの判断が必要になります。

その場合、「誰がどう見ても」の部分を証明するための記録が必要となってきますので、ボイスレコーダーや、メールの内容など、この記録を残すことは非常に労力を伴います。

またその基準が他の人が見ると、勤務態度の悪さは指導でなんとかできるレベルかどうかの基準も客観的にみて判断されます。

そこは経営者が何をやっても駄目だと思い込んでいても、他の人が見ると違うかもしれません。

横領や不正行為などの懲戒解雇を不当とする場合などは、経営者側が極めて有利なので、解雇に関する裁判はこうした場合でない限り行わないほうが得策ではないかと考えます。

 

★雇用主に課される負担

技能実習生については、急激に悪化した経済情勢においても、技能実習生が当初の研修・技能実習計画を全うして帰国することができるよう最善の努力が必要になります。

また、技能実習の継続に最大限努めたにもかかわらず、やむを得ず受入れを中断する場合には、技能実習生に丁寧に説明した上で、地方入国管理局等に申し出るとともに、新たな受入れ機関を探す必要もあります。

新たな受入れ機関が見つからない場合には、外国人技能実習機構や(財)国際研修協力機構(JITCO)に連絡し、協力・指導を仰ぐことも可能です。

最終的に、やむを得ず技能実習生を離職させる場合には、30日前までの予告、解雇予告手当の支給などの労働法令を守った上で、当該外国人の氏名、在留資格等をハローワークへ届け出ることが義務付けられています。

 

経済情勢の悪化による技能実習生の解雇等への対応について(厚生労働省)

詳細は下記 厚生労働省サイトを参照願います。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/taiou/kaiko-taiou/index.html

 

次回は特定技能労働者の解雇について報告します。