第17回 特定技能の転職は可能か?

第17回 特定技能の転職は可能か?

人の為と書いて偽りと読むんだよなー 相田みつを

 

人の為、国民の為に!!と志してなったはずなのに、嘘や資料改ざんで生き延びる国家公務員に聞かせてやりたい言葉ですね。

 

さて今回は特定技能制度における転職について紹介致します。

 

【結 論】

制度的に転職は可能ですが、現実的には転職者にとっては非常にハードルが高いので、転職は難しい。と言えます。

 

人材不足に悩む国内の各業界において、新たな人材確保の手段として注目される外国人労働者の在留資格「特定技能」。2019年に新設されてから、各業界からその動きが注目されています。

「技能実習は転職できないから良いが、特定技能は転職される可能性があるから導入を躊躇してしまう」経営者の発言として、よく耳にする言葉です。

「特定技能は転職できる」ということがネガティブに捉えられているようです。

 

受入れ側の、「せっかく時間と手間と費用をかけて確保した人材が、すぐに別のところに転職されては元も子もない」というマイナスイメージが、積極的に特定技能外国人を採用しない原因のひとつになっています。

しかし実態としては、転職はそれほど簡単なことではないのです。

                             

ハードルその① ★転職のための手続き中は働くことが出来ません。

 

特定技能外国人が退職した場合、元の雇用主だった企業側は2週間以内に届け出をする義務がありますが、手続に不慣れだったり多忙な時期だったりすると、それが期限ギリギリになる可能性も考えられます。

特定技能制度は一つの企業としか雇用契約が結べないため、退職した企業から雇用契約終了の届け出が出されない場合、外国人労働者は転職のために必要な在留資格の変更許可申請の審査が前に進まず、時間がかかることになります。

在留資格変更許可申請は本人又は代理人が出来ますが申請作業自体に時間がかかる事や出入国在留管理庁での審査にも多くの時間がかかります。

変更申請の時期によっては、丸2カ月以上も仕事がないことも起こりえます。つまり、無給状態が2カ月以上に及ぶことも十分に考えられるのです。

(給与1~2万円の違いで辞めるにはリスクが大き過ぎるのです。)

 

ハードル② ★転職先は同業職種に限定されています。

 

特定技能の在留資格では、通算で5年しか働くことが出来ません。

彼らの本当の働く目的は、日本で稼いだお金を母国に持ち帰ることであり、出来るだけ多く貯金をしたいと考えています。2ヶ月間前後、無給状態になる可能性を考えれば、転職は冷静に考えなければならないのが現状です。

それに加え、届け出期間中の住居問題、転職中の生活費問題など、さまざまな問題も生じます。

 同業職種で待遇の良い職場を見つける事は、外国人労働者にとっては容易ではありません。

 

『特定技能は転職OK』とは言うものの、ハードルが非常に高いのが現実です。

 

お金だけに着目して転職する人材がいるのは、日本人も外国人も同じです。

しかし、義理人情で心を動かされるのも、また日本人も外国人も同じなのです。

若い人材が異国から日本に来ることは、とても勇気のいることです。「ちゃんと仕事ができるだろうか?」「日本の生活になじめるだろうか?」といった不安や、実際に来てみたら想像と違っていたり、自分の思い通りにならなかったりすることも沢山あるでしょう。そんなときに、親身になっていろいろと世話をしてくれる、心細い気持ちに寄り添って支えてくれる会社だったら、どうでしょうか? 

 

転職されるのを心配して二の足を踏むよりも、『ここで働きたい』と思えるような職場作りやサポート体制を考えた方が、外国人労働者のみならず現在抱える日本人従業員の定着率も向上するのは間違いありません。

 

案ずるより産むが易しです。 まずは行動に移しませんか?