第14回 外国人介護制度について その1

第14回 外国人介護制度について その1

『当たってくだけろ』 かけ声は勇ましいけれど かけ声をかける当人は

当たりもくだけもしねんだよなあ  相田みつを

 

皆さん心当たりありませんか? 

社員と一緒に神輿を担がないと社員は付いて来ませんよ。 率先垂範です。

 

今回は、外国人介護職員を雇用できる4つの制度のうち『EPA介護』と『在留資格介護』ついて少し詳しく紹介します。

 

"団塊の世代"が後期高齢者(75歳)の年齢に達し、介護需要が急増する事が予想されています。厚生労働省の調査によると、2025年介護人材の必要人数は245万人と推定され、現在推定の220万人の人材に対して25~30万人が不足すると見込まれています。

 この不足分を日本人だけで補充するのは非常に困難と推測され、日本政府も、外国人労働者による介護を視野に入れ、新しい制度も加えながら需要に備えようとしています。

 

① EPA 介護(経済連携協定 インドネシア・フィリピン・ベトナム)

特徴

対象国と経済連携の強化を目的として創設されました。3カ国からのみ受け入れ可能であること、社団法人厚生事業団を通してのみビザ申請可能ということの2点から在留資格「介護」と比較して取得条件が多いのが特徴です。

※労働力不足への対応ではなく、二国間の経済活動の連携の強化の観点から、経済連携協定(EPA)に基づき、公的な枠組で特例的に行う制度です。

 

受け入れには〈就学コース〉と〈就労コース〉の2つのルートがあります。

〈就学コース〉 ※フィリピン、ベトナムのみ

1. 介護福祉士候補者として入国

2. 2年以上、介護福祉士養成施設にて研修

3. 介護福祉士国家試験受験

4. 介護福祉士資格取得(登録)

5. 介護福祉士として業務従事

 

〈就労コース〉

1. 介護福祉士候補者として入国

2. 3年以上、介護施設等で就労・研修

3. 介護福祉士国家試験受

4. 介護福祉士資格取得(登録)

5. 介護福祉士として業務従事

※いずれの場合にも、介護福祉士国家試験に落ちた場合は帰国の選択ししかありませんでしたが、救済措置として特定技能介護に移行する事が可能となりました。

 

② 在留資格「介護」

特徴

2016年までは、介護福祉士の専門学校に通っていた留学生が(EPA対象国以外)が、介護福祉士の国家試験に合格しても、在留資格がないために日本では就職できませんでした。

しかし2017年より、この在留資格「介護」によって日本の介護専門学校を卒業し、国家試験に合格した外国籍の方々がそのまま日本の介護福祉施設で働けるようになりました。

この在留資格「介護」資格者は、家族(配偶者・子)の帯同が可能です。また在留期間更新に回数制限がありませんので、定年まで日本で働くことが可能です。

 

受け入れには〈養成施設ルート〉〈実務経験ルート〉の2ルートがあります。

〈養成施設ルート〉

1. 外国人留学生として入国

2. 介護福祉士養成施設で2年以上学習

3. 介護福祉国家試験受験・合格

4. 介護施設に採用決定

5. 入国管理局に在留資格変更の申請・許可

6. 就労開始

 

〈実務経験ルート〉

1. 技能実習生等として入国

2. 介護施設で3年以上就労・研修

3. 介護福祉国家試験受験・合格

4. 介護施設と新たに雇用契約を結ぶ

5. 入国管理局に在留資格変更の申請・許可

6. 就労開始

前者は1〜4まで在留資格「留学」、5からは在留資格「介護」に移行する。

 

★資格取得に必要な要件

在留資格「介護」の資格認定を受けるには以下の4点を満たす必要があります。

1. 「介護福祉士」の資格を取得していること

2. 日本の会社(介護施設)と雇用契約を結ぶこと

3. 職務内容が「介護」または「介護の指導」であること

4. 日本人が従事する場合における報酬額と同等額以上の報酬を受けること

※ただし、外国出身の方が「介護福祉士」を取得するのはなかなか難しく、思うようには資格者が増えていないのが現状です。

 

上記①、②に関しては人材不足を補う目的では無い制度である事に注意が必要です。

 

次回は在留資格『特定技能介護』『技能実習介護』について紹介します。