第190回 マジックの勧め 〜魔法や超能力ではない!〜

第190回 マジックの勧め 〜魔法や超能力ではない!〜

 新型コロナ禍のせいもあり、私の趣味の一つのマジックを披露する機会が最近はほとんどなくなってしまいました。

 

 昔は会社の忘年会や新年会などの余興でマジックを何度もやりましたが、だいぶ前のこと、地元の榴ヶ岡公園という桜の名所で、会社の花見の時に演じたことがあります。

 場を盛り上げるためにマジックの定番曲、オリーブの首飾りの「♪チャラララララ~♪」という曲をバックにマジックを始めたところ、一般の花見客も見物に押しかけて終わると同時にやんやの喝采を受けたこともありました。

 

 まさかの「成功体験」であり人前で演ずることに病みつきになりそうでしたが、実は私の好きなのはどちらかというと少人数を相手にするクローズアップマジックなのです。

 その中で特に準備が必要なくどこでも演じることができて、ほとんどの人に受けたマジックを今回は御紹介してみます。

 

心を読み取る

 相手の選んだ本のあるページの文章を頭の中に思ってもらっただけで、それを言い当てるマジックです。

ある沖縄料理屋さんで常連だけの貸し切り宴会をした時に、なにかマジックをしてほしいと言われました。

 最初に店の入り口にあった単行本の3冊の中から任意で1冊を若い女性に選んでいただき、私から少し離れた店の端の方に行ってもらいました。

 さらに別の男性に残りの2冊から1冊選んだ本を私に渡してもらい、「この本のページをパラパラとめくりますので、適当なところでストップと言って下さい。」と言いました。

 そして私と離れたところにいる女性には「持っている本の同じページを見て、その文章を口には出さずに頭の中で繰り返しください。」とお願いしました。

 私は渡してもらった本を指ではじいていくと、男性が「ストップ!」と言ったのでそのページを彼女に告げました。

 そこで私は彼女の頭の中からその文章を読み取りながら、店からもらった紙に文字を書き込んだのです。

 その紙を別の人に渡した後に、女性に本の文章を読み上げてもらうと、なんとその内容が見事に一致しているのをその場にいる人たちが目撃してしまうのです。

 「エーッ‼」というざわめきの後には「もう一度!」というアンコールの要望が強かったのですが、笑いのとれるマジックを一つ披露してその場を終わりにしました。

 

生者と死者は紙一重

 ある会合に参加して次の懇親会までに少し時間がありました。

 仕事上のお付き合いだったので個人的に懇意だった方はいませんでしたが、暇つぶしということで数人を相手にマジックを会議用の机の上でやり始めました。

 私の名刺を一人の方に10枚位渡し、「親せきや知人で亡くなった人の名前をひとりだけ私に見えないように名刺の裏に書いてください。」と言いました。

 さらに「今度は何枚でも良いので、現在生きている人の名前をやはり見えないように書いてください。」とお願いし、その後にシャッフルしてもらいました。

 私はそれを受け取りますが、最初に名刺を渡した後からまったくそれに触れないようにしていますので、一連の操作は全部相手がやりました。

 10枚ほどの名刺を受け取った後に名前を書いた面を表にしてランダムに並べていきます。

 そして、気を感じるために彼の手に触れながら私の別の手で名刺の上をなぞっていき、生きている人の名前が書いてある名刺を1枚ずつはじいていきます。

 最後に残った名刺を指さし「この××さんが、亡くなっている方ではないでしょうか?」と言って的中させたのです。

 相手は信じられないというような目で私を見たので「これはマジックなので、タネは当然ありますよ。」と言い添えしました。

 

 このマジックの応用は新興宗教などでやると「うけ」が良いので、マインドコントロールとして営業ツールに使っているということを聞いたことがありますが、どんなに不思議な現象であっても、魔法や魔術や超能力ではありませんのでご用心下さい。

 

最後に

 欧州に行った時にレストランで家族連れと同じテーブルに座ったので、同席したその子供に簡単なマジックをしたら親にまで受けて仲良くなったことがあります。

 また、国内の汽車で旅をしている時にぐずっている子供にマジックを見せたら、機嫌が直ってその子の親に感謝されたこともありました。

 

 業界の親睦会で持ち回りの挨拶をした時に、短い時間にマジックを披露したところ、その分野の第一人者の大学教授に大受けし、何度も「もう1回やってくれ⁉」「タネを教えてくれ!」と半強制的に懇願をされました。

 偉い先生だったので迷いに迷いましたが、要望には応じませんでした、その後に会合などでその先生に会うたびに、「マジシャン!手品やってくれよ⁉」と本業の話しはそっちのけで、いつも挨拶代わりに言われるようになってしまいました。

 

 マジックはコミュニケーションには最適ですし、練習する時も披露する時も見るだけでも頭を使うので、頭の運動にも大変に良いですし是非一つか二つ得意なものを身に着けることをお勧めします。