第92回 20年ぶりの沖縄 〜最強のパワースポット巡り〜

第92回 20年ぶりの沖縄 〜最強のパワースポット巡り〜

 20数年ぶりに沖縄に行ってきたが、以前と比べてあまりにも変わっていたのには驚いてしまった。

 フライトで降り立った那覇空港は昔には一地方都市の質素な雰囲気の空港だったが、以前とはくらべものにならない位に洗練されしかも南国情緒があり、外人が思ったよりもはるかに多く異国の空港のようであった。

 沖縄に訪れる観光客数は2017年には、939万人とハワイの938万人を1万人上まわったという。ただ平均滞在日数や消費額ではハワイにはまだ及ばないようだが、144万人の県民の人口の6.5倍の観光客数はものすごいものであり、そのうち外国人観光客は254万人と30パーセント近くになる。

 この数字以上に観光地や街を歩くと実感として外国人、特に中国人観光客が目立っていた。

 

 今回は昔のガイドブックには載っていなかったところも何カ所か訪れたのだが、その中にはパワースポットとして注目されている場所がいくつもあり、私にもそのパワーがいただけるのかと期待しながら数か所周ってみたのである。

 

沖縄最強のパワースポット、斎場御嶽せいふぁーうたき

 本島の南部にある沖縄一番のパワースポットが「斎場御嶽」である。私たち夫婦を案内してくれた「アマミキヨ浪漫の会」のガイド氏は歳の頃80歳はとっくに過ぎていそうな男性で片手が義手の方であったが、ここのパワーのおかげかカクシャクとしており精力的に案内していただいた。

 強い沖縄の方言が混じった説明は、わかりにくい箇所も多かったがその言葉自体が一つの物語のようで心地よい時を過ごすことができた。

 「斎場御嶽」は琉球の信仰の最高の聖地に位置づけられており、2000年に11月に世界遺産にも登録されている。「斎場せいふぁー」は「最高位」を意味し、「御嶽うたき」は「聖地」のことなので「琉球最高の聖地」となる。

 この地を訪れる人の中にはあまりのパワーの強さに、気持ち悪くなったり中には失神したりする観光客もいるという。

 ここは琉球の始祖神アマミキヨが造ったといわれる場所で昔は男子禁制の場所であり、現代の女子禁制の大相撲の土俵のような場所であったのだ。

 それでも国王がどうしても入る場合は、女装をしなければならなかったそうなので、土俵も女性は男装すれば上がっていいのではと思ったのだがやはり相撲協会にはダメ出しをされそうである。

 この場所で最も神聖といわれるのが「三庫理さんぐーい」と呼ばれる拝所で、木々が濃密に茂る小径を過ぎると突然に巨大な岩が現れる。それは二つの岩が支えあっており、その間の三角形になっている十メートル位の隙間の空間がその神聖な場所の「三庫理」である。

 ガイド氏によるとその岩の写真を撮って、太陽の光がハートの形や青や赤の色が出るとパワーがもらえるとのことだが、私のカメラでは全く写すことはできなかった。ちなみにそのガイド氏は何度も携帯で写真を撮り、それを私に見せてくれたのだ。

 ちなみに「斎場御嶽」はNHKの大河ドラマの「琉球の風」やBS時代劇の「テンペスト」の中で琉球王国の祭事のシーンでも取り上げられたと、ガイド氏に何度も当時の写真を見せていただいた。

 

琉球を創世した女神が降り立った久高島

 斎場御嶽の近くの安座間港からフェリーに乗って15分で行けるのが、沖縄のベスト2のパワースポットである久高島である。

 この島は人口が300人足らず周囲は8キロメートルの小さな島だが、琉球を創世した女神アマミキヨが初めて降り立ったという神聖な地である。ここではマグロ船に乗ってオーストラリアにも行ったことがあるという恰幅のいい60歳の元漁師のガイド氏に案内していただいたが、この方もやはり「アマミキヨ浪漫の会」所属であった。

 2時間ほど軽自動車で島を一周したのだが、道の大部分は車がすれ違うことができない位の狭さで、貸自転車で廻る観光客が数人いただけであった。島民はほとんどが港のあたりに住んでおり戦前はサトウキビ畑であった農地は雑草が生い茂り、青い海のそばの土地は自然に戻っていた。

 廻っていく途中にいくつかの聖地である「フボー御嶽」がある。ここは海岸に近い小径のそばにあり入り口は樹木でふさがれているが、奥の方には祭祀場の円形広場があり「何人たりとも出入りを禁ずる」との看板が立っていた。

 特に男子禁制は今でも厳格に守られており、以前に秋篠宮夫妻がこの地を訪れた時も秋篠宮妃のみ立ち入ることが許されたが、親王は入ることがかなわなかったとガイド氏の説明であった。やはりここもパワーを感じやすい人は気分が悪くなる場合もあるという。

 案内の最後に島の小高い場所で「いけす」のようにして養殖していた「海ブドウ」を味見させていただいたことは、それが大好物の私にとっては大変にうれしいことであった。

 

 その他にも穴場として沖縄本島の最北端辺戸岬の近くにあるのが「大石林山ダイセキリンザン」である。私もまったく知らなくて民宿の隣の居酒屋で同席した客に教えられたのだが最高のスピリチュアルスポットなのだという。ここは2億年前の石灰岩が侵食されて塔のように林立し、国内では絶対にお目にかかれない奇岩群を見ながら歩け、存分にパワーを享受することができたような気がする。

 

 また国頭郡には天然記念物のヤンバルクイナを見ることができる「ヤンバルクイナ生体展示学習施設」があり、キョンキョンという一羽のメスが愛嬌をふりまいていた。それでも物足りない方には、辺戸岬の近くの岸壁を縄張りにしている十数メートルという巨大ヤンバルクイナもいるので是非見てほしい。私も人跡未踏のようなその地で遭遇したが、あまりの大きさに腰が抜けるほど驚いたものだ。

 

 実は今回の旅での私にとっての最大のパワースポットは那覇市牧志竜宮通りの山羊料理Sであった。

 ここで食したナマの山羊刺しは絶品であったが、カウンターの中のネエネエの会話というか独り言というかその言動すべてがユニークで、その圧倒的なオーラは琉球の始祖神アマミキヨにも勝るとも劣らないパワーの持ち主であった。