第63回 煙草・シガレット・もく・ヤニ考

第63回 煙草・シガレット・もく・ヤニ考

 先月、定期的に行っているA社での事件、事務所に行ったら工場の方から切羽つまった連絡があり、事務所の社員全員が騒然としていた。

 

 工場に勤務する30代の若手管理職が突然倒れて意識がないという。心臓が動いていないというので、駆け付けた社員が会社に備え付けているAED(自動体外式除細動器)を使ったところ意識は戻らなかったが、心臓は動き出しその後救急車で運ばれた。

 その社員は心筋梗塞との診断だったが、数日後に後遺症もなく意識を取り戻し10日も経たないうちに退院し、今では元気に職場に復帰して以前と同じように働いている。ただし彼はそれを機会にタバコはきっぱりとやめたそうだ。

 

 後日に私が簡易人間ドックを受診した時の医師や、定期的に通院している医師にその話しをしたら「その社員さんはタバコを吸っていますか?」と尋ねられた。

 

 心筋梗塞の原因でタバコの占める影響は非常に大ということで、その社員がタバコをいつも吸っているといったら、「きっぱりとやめた方がいいですよ。」と医師に言われた。

 

 タバコの煙に含まれるニコチンは、血管の収縮、血圧の上昇、心拍数の増加をもたらし、その一酸化炭素により血管が詰まりやすくなり、脳卒中や心筋梗塞の原因となるという。タバコを吸うことで、心筋梗塞を発症するリスクは、男性が約4倍、女性が約3倍高くなるそうだ。そのほかにタバコによる病気のリスクが、数多くあるのはヘビースモーカーでも知っているはずであるが、やめられないということはやはり中毒ではないかと思う。

 

 私がよく通っていたメキシコ料理店の50代の経営者夫妻だが、自宅のマンションに散歩から帰ってきたマスターが、奥さんが倒れているのをみつけ救急車を呼んだが心筋梗塞で既に亡くなっていた。

 おしどり夫婦であったのでそのマスターはその後に自暴自棄になり、体に悪いとは言いながらますますヘビースモーカーになり、食道がんなど2回手術して2年後に亡くなってしまった。

 マスターの告別式で別れの挨拶をしたが、奥さんの後を追うようにして亡くなった故人の遺影が「タバコはやっぱりやめられないね」とほほ笑んでいるようで複雑な思いであった。

 

 長年入会しているスポーツジムに、いつもフロントにいる若いスタッフがいなかったので、気軽に「○○君は休みなの?」と他のスタッフに尋ねたら、「彼は心筋梗塞で急死したんです」と告げられ愕然とした覚えもある。ちなみに彼は25歳の青春真っ盛りだった。

 

 タバコを吸う人はなるべくいつも人がいるところで過ごすといい。会社で倒れた社員もそうだが、就業中に倒れたのでAEDも使えたし救急車も呼ぶことができた。もし就寝中やひとり暮らしで急に意識を失った場合は、「そのまま」朝を迎えることになり、天国に召されることになる。

 

 まだ、未婚の人はなるべく早く結婚し、夫婦別部屋で寝ていたのなら、いびきや歯ぎしり、寝言、加齢臭などは我慢して極力同じ部屋で休んだ方がいい。いざという時に気が付かなかったら後で後悔することになる。(後悔しない夫婦もいるかもしれないが・・)

 

 私がタバコを吸い始めたのは、大学3年の時に父が海外旅行のお土産にとタバコを吸わない私になんとダンヒルを買ってきたのだ。当時、私はアルバイトをやっていて腹が空いたときにいたずらでタバコをふかしてそれをまぎらしていたら、いつの間にか習慣になってしまった。

 

 10年後にはタバコをやめたのだが、それでもタバコにまつわる思い出は多い。

 

タバコのニオイは父親のニオイであり、大人のニオイ

昔の映画やドラマのニヒルでかっこいい主人公は必ずタバコを咥えていた

テレビや舞台でのタバコのマジックが無くなってしまった

学生時代の徹夜麻雀でのツマ楊枝で刺したシケモク吸い

子どもの頃にお茶の葉を紙で撒いてタバコ風にして吸ってみた

フランスの黒タバコのジタンやドイツの押しつぶしたようなゲルベゾルテの思い出

 

 最近はタバコを敬遠する会社も増えており、分煙や野外のみの喫煙は当たり前の風潮になってきた。現在喫煙者は21%にもなっていて、昔は男の80%は吸っていたことを考えるとまさしく逆転してしまった。

喫煙者を採用しない企業もあり、以下に一部その会社を列記する。

 

 ワシントン靴店 星野リゾート、ファイザー、セントラルスポーツ、帝国データバンク、ロート製薬、テルモ、ジャパネット、紅屋商事、山形のエムテックマツムラなど多数。

 

 最近は電子タバコも出てきており、繁華街のアンテナショップは大人気でいつも賑わっているが、紙巻きタバコよりも発がん性があるという説もあり、大半が中国製で繊細な肺にその成分をいれても安心かといのは、まだ検証はされていないらしい。

 また、軽い煙草ほど肺の深部まで煙が到達するので癌になりやすいとの報道もあったので、やめるのは早いに越したことがないと思うのだが・・・

 

 JT日本たばこ産業も今や売り上げの20%以上は、食品加工事業と医薬品事業であり、経営の多角化を着々と進め国内企業収益ランキングの上位にあり、やがては煙草から離れる時があることも否定できない。

 

 JTの株の配当利回りが3%以上でもあり、0.01%の定期預金金利の300倍もあるので、タバコをやめたお金でJTの株式を買うのも得策かもしれない。