第42回 名は体を表す?〜MADE IN PRC〜

第42回 名は体を表す?〜MADE IN PRC〜

数年前に土産用のTシャツを買おうとしてタグを見たら、PRCとなっていた。このように「MADE IN PRC」や「MADE IN ROK」と表記された衣類や雑貨、食料品のタグを今では頻繁に見かけることがあるが、どこの国で作られたのかご存じだろうか? どこか東欧の国かそれともアジアか中南米の新興国かと考えた方も多いのではないだろうか。

 

ところが、PRCは「People's Republic of China」中華人民共和国の英文表記の略であり、ROKは大韓民国の英名「Republic of Korea」を略したものである。PRCが多くなったのは「餃子事件」からという説もあり、功罪は別としてこの表記によりいろいろの商品の売り上げが増えたそうである。

 

「名は体を表す」とは、読んで字のごとく人やモノなどの名前はそのものの本質や実態を表しているという意味だが、「MADE IN CHINA」であれば買うことをためらうが「MADE IN PRC」ならよくわからないので、買ってしまうこと意図していたのではないかと勘ぐってしまうのは私だけではないだろう。かつては「MADE IN JAPAN」もそういう時代があったが、PRCやROKなどではなく「MADE IN CHINA」や「MADE IN Korea」と堂々と名乗れるような安心できる製品を作ってほしいものである。

 

人の場合は生まれたばかりの赤ん坊には必ず名前を付けなければならないが、最近?の親は子供に自分でも書けなかったような名前や読み方にしてしまうことが流行っているようだ。その名前を読んだり書いたりできるのは親だけで、幼稚園の保育士さんや学校の担任の先生は覚えるのが大変である。また凝りすぎた名前を付けたために、その子が成長した時にあまりのアンマッチのために苦労したりしないかと他人事ながら心配になる。

 

最近ではそういう名前をキラキラネームというそうだが、例えば男子には「皇帝」と書いてシーザー(どんな偉い人になるのか)、「光宙」はピカチュウ(頭髪が少なくなってきたらと考えると・・)、「大魂」ダイソー(100円の価値?)など。女の子には「桜」でピーチ(桃と勘違い?)、「萌胡莉」モコリ(人前では口に出せない?)、「妃仁」ヒニン(絶句!!)等々。こういう名前でどういう人間にしたいのかよくわからないが、いずれ改名する時がくるかもしれない・・

 

このように名前やネーミング、肩書などは思い込みや勘違いなどにもつながるので、慎重にしたほうが良いと思うのは私だけではないはずである。

 

「名は体を表す」というと企業でも肩書を与えることにより、その地位にふさわしい人間に成長することが多いとよくいわれる。会社でもある社員を昇格させ、課長にしたとする。もちろん上司は仕事の実績や能力、適性やコミュニケーション力などを精査してのことだが、昇格した社員がそれなりにその職にふさわしくなってくると「肩書が人を作っていく」ということを実感していくことになる。

 

反対にその「肩書」にふさわしくなくなる場合もある。例えば同族会社の場合に社長が自分の子弟を役員に

すると「自分は役員だ、だから偉いのだ、だから命令ができるのだ、だから皆より楽ができるのだ」と勘違いをして行動すると、先輩社員や年配社員のヒンシュクをかうことになる。特に同族の子弟の場合は、他社の見る目は一層厳しいのでハードワーキングをやり、誠心誠意で業務に当たらなければならない。そうではなく、「役員になれたのは自分が社長の息子だからなので、能力も経験も諸々のことは今からもっともっと勉強をしなければならない」とか「人に命令する前に困難な事でも率先垂範でやっていこう」との思いを強くして仕事に向かう。周りの社員や業者などにも腰を低くしてそういう態度を見せれば、皆協力してくれるので徐々に「名は体を表す」となっていくのである。

 

経営者たるものの資質は、素材、性格、意見具申、汚れ役、金の使い方がきれいの5点が特に必要である、と昭和の時代に活躍した思想家の故安岡正篤氏も説いている。経営者やその2番手3番手は、そういったことを実践しくれぐれも「名前負け」や「看板倒れ」にならないことを心掛けしてもらいたい。