第28回 ロシア・ウラジオストクは魅知の街 〜北朝鮮人と学生と美人〜

第28回 ロシア・ウラジオストクは魅知の街 〜北朝鮮人と学生と美人〜

ウラジオストクに到着したのは、成田空港を出てから2時間半、沖縄に行く時間よりもだいぶ早い到着でした。その空港に機体が着陸した時に、なんと機内では修学旅行の生徒のように拍手が巻き起こったのです。拍手したのはほとんどがロシア人で、無事ついて「ほっ」した雰囲気が思わずそうさせたようでした。もしかすると、この便のロシア人の乗客はほとんどが飛行機に乗ったことがない人たちだったかもしれません。

 

日本に一番近いヨーロッパといわれるウラジオストクには3泊4日の短い旅でしたが、40年ぶりのロシア訪問に改めて「気づき」が満載でした。

 

ウラジオストク駅は世界最長シベリア鉄道のモスクワまで9259キロメートルと、日本の択捉島から与那国の長さの3倍にもなる大動脈の東の起点となっています。

 

驚きの交通事情

バイク、自転車がほとんど走っていない街を歩いていると、車は右側通行なのになぜか違和感がないと思ったら、車のほとんどが日本製で右ハンドル、そして時々日本語が書いてあるバスが走っているせいもあったようだ。仙台の名の知れたバス会社の社名が大きく車体に書かれて走っていたのには、思わず「えっ」となってしまう。ただし中古が多く、日本のように磨き上げたような車はほとんど見かけることがなかった。ちなみに街中の案内表示はほとんどがキリル文字(ロシア文字)で、内容の把握は難しい。

 

以下は、キリル文字のABCアルファベットである。

АБВГДЕЁЖЗИЙКЛМНОПРСТУФХЦЧШЩЪЫЬЭЮЯ

街中を離れると舗装道路が少なく、もうもうと砂埃が立つ道路も珍しくなく、交通事故も多発しているようでトラックや乗用車などが、道路から落ちて横倒しになってるのも数台見かけた。

 

やたらと多い北朝鮮の労働者

ウラジオストクは辺境の街だが、人口は60万人とそこそこいるが、地理的に近いせいもあり北朝鮮からの出稼ぎが多く、所々で見かけるが彼らは肉体労働がメインのようであった。全員が一様に日焼けしたような色黒で痩せており、観光客と違って街を歩いていてもほとんどよそ見もせずに歩いている。北朝鮮の住民と簡単に接することのできる世界で唯一の都市が、ここウラジオストクであり、建築中の「足場」のあるところには必ず北朝鮮人労働者がいるという。彼らは、自国民以外は挨拶されても返事もしないそうで、月平均給料は北朝鮮国内の10倍の1000ドルだが、国家に上納しなければならないので、自分には250ドルしか入らない、それで余計に愛想が悪いのかもしれない。

 

学徒の街

我々が見学に行った極東連邦大学は、ロシア極東地区最大の総合大学で、学生と教職員だけで4万6千人もおり、構内は非常に広くとても歩いては回れない。大学構内には林立する学生寮や大きな立体駐車場もあり、日本からの留学生もいるらしい。その中の日本語学科の授業風景を見せてもらったが、数人ほどの学生全員女子で「日本にはどのように関わりたいのか?」の質問には、やはり日本のファッションやアニメに興味を持って、もし日本に行くことができたらその関係の仕事をしたいという。

北海道函館市に同校の分校である専修学校ロシア極東大函館校がある。

 

極東のヨーロッパは美人が多すぎる

ウラジオストクはアジアではほぼ見られない欧州の街並みで、大変に異国情緒があり、おまけに女性の90%は美人コンテストに出られるのではと思うほどに背は高くすらりとして歩く姿勢が良く、透き通るような色白で目鼻立ちもすっきりして、レアドロの陶器人形のようである。前記の学生たちも日本ではモデルでも通用するようなきれいな子たちであった。

極東連邦大学の市内にある分校には与謝野晶子の詩碑があるが、なんとその銅板に刻まれた顔は日本髪のロシア美人なのには驚いてしまった。ちなみに与謝野晶子はパリにいる与謝野鉄幹に会いに行くためにウラジオストクに途中寄ったという。

 

ロシア人とトイレ

スーパーにはウォッカが山のように置いてあるので、ロシア人はそれをがぶ飲みしてトイレも近いと思ったが、ほとんどのロシア人はトイレを夜まで我慢できるという。公共の場ではトイレが圧倒的に少ないのか、体の構造が違うのか、我々日本人だと5時間も我慢したら「もうダメ~!!」となるのも彼らは平気のようだ。又、トイレは男女共用が多く、ほとんど気にしないらしい。

旅の途中にコーディネーターの方が、レストランのトイレに入ったら鍵が故障し出られなくなり大騒ぎになったが、結局30分くらいかかり頑丈なトイレの一部を壊して無事に脱出することができた。ここで驚いてしまったのは、そのトイレの修復代が閉じ込められた本人に請求がきたことである。

 

東南アジアは気軽に行けますが、隣国ロシアのウラジオストクは成田から1000キロしか離れておらず、異国情緒満点の街なので是非にも行ってみることをお勧めします。